The National Museum of Ethnology (Minpaku) is a research center for ethnology and cultural anthropology.
japan site

Senri Ethnological Reports (SER)

No.50 The Dynamics of Cultures and Society among Ethnic Minorities in East Asia

March 29, 2004 Publication

Edited by Hiroko Yokoyama, National Museum

back numbers

刊行の目的および意義

本書は、平成9年2月に本館において開催された文部省国際シンポジウム「民族の文化とその政治経済学─東アジアの少数民族を例として─」の成果を刊行するものです。
このシンポジウムは、東アジアの少数民族に焦点を当て、民族、文化、地域社会、国家をめぐる最新の状況を明らかにし、その問題点を議論することにより、現代世界の民族にかかわる諸問題解決のための展望を開くことを目的として企画されました。本館スタッフ10名とその他国内の研究者6名のほか、中国大陸から5名、台湾から3名、ロシアから3名、アメリカから2名、そのほかドイツ、ノルウェイ、イギリスから各1名の参加者を得て、日本語、中国語、英語の3カ国語を使用して報告と討論が行われました。
現在、私たちを取りまく世界の問題の多くは、民族集団とそのアイデンティティを支えていることの多い文化をめぐって展開するものであり、本シンポジウムは、各地で起きている問題の本質を分析し、研究上のみならず、現実の問題解決に対しても示唆を与えうる成果を上げました。その成果の公表は、特に東アジアを中心とする民族学・文化人類学的研究の進展に寄与するものと思われます。種々の理由から刊行が遅れましたが、本書で展開されている議論や情報は十分に意味あるものであり、刊行を通じて東アジアにおける民族状況のダイナミズムや民族にかかわる社会の動きを具体的に把握し、民族問題の考察を深めることが可能になるかと思われます。
また、本書の特徴は、関係の地域や言語文化における概念の意味のズレなども浮き彫りにし、その点で東アジアにおける民族をめぐる研究の進展にとって価値を持っている点です。たとえば「民族」という概念は、日本語と中国語との間で微妙なニュアンスの違いを持ち、日本では「民族」や「ネイション」などの使い分けがあるのに対し、中国においてはナショナリズムを「民族主義」と訳すことに対してほとんど躊躇のない状況があるというような現実は、本書を通して明らかになります。これらの問題は、各論文を日本語、中国語、英語のいずれかの言語で収録し、要旨については3種類すべての言語を掲載するという本書の編集形式により、いっそう鮮明な形で示せると思われます。

 

目次

序文
 ……………… 横山廣子
Ⅰ. 民族意識の高揚と民族
Some Considerations on China's Minorities in the 21st Century: Conflict or Conciliation?
 ……………… T. Heberer
Cultural Revitalization and Ethnic Identity of the Austronesian Peoples in Taiwan: 1980 to 1995
 ……………… Chiang Bien
人類學家與原住民研究――一些個人的經歷與反思
 ……………… 喬健
现代化过程中的少数民族文化
 ……………… 郝时远
民族問題の解決に向けて トマス・ヘーバラー報告と都時遠報告に対するコメント
 ……………… 佐々木信彰
アイデンティティの模索と人類学者の立場 喬健報告に対するコメント
 ……………… 松澤員子
台湾原住民のアイデンティティ 蒋斌(Chiang Bien)報告に対するコメント
 ……………… 野林厚志
Ⅱ. 国家・社会・民族
National Identity and Multi-Culturalism in China: Segmentary Hierarchy among Three Muslim Communities
 ……………… Dru C. Gladney
中国南部少数民族の直面する諸問題――雲南の事例を中心に-
 ……………… 松本光太郎
Learning to be Chinese: Minority Education and Ethnic Identity among Three Ethnic Groups in China
 ……………… Mette Halskov Hansen
民族社会发展与民族文化变迁
 ……………… 金炳镐
現代におけるアイヌ民族自立運動に関する諸問題――近代の同化政策から現在の新法制定論議まで-
 ……………… 大塚和義
Ethnicity and Nationalism: Co㎜ents on papers by Professor Matsumoto and Professor Gladney
 ……………… Jerry Eades
Mandarin among China's Minority Groups: Comments on the Papers of Jin Binggao, Mette Hansen, and Shoji Hiroshi
 ……………… Shaun Kingsley Malarney
Ⅲ. 変動する社会と民族の諸相
Social and Economic Changes among Highland Minorities of Caucasus
 ……………… S. A. Arutiunov
観光を中心とする経済発展と文化-雲南省大理盆地の場合-
 ……………… 横山廣子
鄂伦春民族文化与现代化
 ……………… 洪时荣
藏传佛教与西藏传统文化
 ……………… 江平
民族文化の再構築と観光産業――横山報告とアルチュノフ報告に対するコメント
 ……………… 村上勝彦
Extinction or Restoration of Ethnic Culture Compared with the Cases of Siberia: Comments on the papers of Hong Shirong and Tsukada Shigeyuki
 ……………… Natalia Zhukovskaia
Ⅳ. エスニシティと民族理論の探求
Social Reforms and Problems of Ethnicity
 ……………… Michel V. Kryukov
中國少數民族現代化基本問題探索
 ……………… 唐屹
满族社会文化变革与民族的发展
 ……………… 果洪升
中国周辺諸集団と現在の少数民族の歴史を理解するために クリューコフ報告, 唐屹報告, 果洪昇報告に対するコメント
 ……………… 佐々木史郎
総括
 ……………… 毛里和子/大林太良
各国語要旨
日本語要旨目次
 ……………… 日本語要旨
中国語要旨目次
 ……………… 中国語要旨
英語要旨目次
 ……………… 英語要旨
 

No. 49 All No. 51