国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

今月の見てみんサイト  2002年8月15日刊行
山中由里子

● Solarsiedlung<http://www.solarsiedlung.de/>

日本は暑い。特に、40度近くもあろうかという都市の気温は、終末的なものを感じさせる。都市部でクーラーをいれずに過ごすことは不可能になってきているのであろうが、その排出熱はもっと制限するとか、うまく利用できないものか。

先月に続いてドイツねたになってしまうが、熱を放出しっぱなしではなく、太陽熱を取り入れてエネルギーにし、クーラーや暖房をほとんど使わずに快適な居住空間を作り出しているソーラーハウスを実際に見る機会があったので、そのサイトを紹介する。

ドイツでも最もエコロジカルな街とされるフライブルグ中心部から南に自転車で10分ほどのところに、新しい住宅地ができつつある。
Solarsiedlung、直訳すれば「太陽集落」。「おひさま村」とでも呼ぼうか。青、赤、黄色など鮮やかな色に塗られた3階または、4階建ての家屋が並んでいて、まるでドールハウスのようだ。屋根の部分は全面太陽電池になっていて、温水はほとんどそれでまかなわれる。さらに発電された電気の一部は、なんと電気会社が買い取ってくれるのである。(ドイツでは、エコロジカルな方法で発電された電気を、何パーセントか電気会社が買い取る義務があるそうである。)家の南側はほとんどショールームのようにガラス張りで(近所の人に覗かれたくなければ、カーテン代がかなりかかりそうだ)、長い冬の間もできるだけ日光を取り入れるようになっている。ガラスは3重張り。断熱材も最高の性能のものを使っているらしく、外部の熱や寒さ、音をシャットアウトしている。さらに各部屋についている空気ダクトが、家中に風の通り道を作っている。

環境に害になる熱でなく、有効に利用できる熱を作り出し、しかも余った分は売っちゃうというソーラーハウス。地球の温暖化からも不況からも救ってくれそうだ。

Yuriko.Y