国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

今月の見てみんサイト  2003年10月15日刊行
渡部和之

● 「羊」

六甲山牧場へ家族で行ったのはかれこれ2年前のことだ。芝生の広がる園内でお弁当を食べていると、どこからともなく放牧中の羊がやってきて娘のおにぎりを奪っていった。この時を発端に、わが家では何度か近くの「農業公園」と称したテーマパークに遊びに行った。だが、羊を捕まえたり、追い払ったり、スリリングな楽しさを経験できる場所にはなかなかめぐりあえなかった。
(神戸市六甲山牧場 <http://hyougo.lin.go.jp/rokkou.htm>)

羊好きを自称する私はかつて茨木市立図書館で『牧場ガイドブック』(中央酪農会議編・家の光社)という本を見つけると、すかさずそこから羊のいる牧場をリストアップし、羊好きの同僚に送りつけたことがある。だが、今ではこの程度の作業はとうの昔に電子化されており、もっと便利なガイドが作成されていた。中央酪農会議の「牧場マップ」は家畜種やイベント別の検索機能がついている。もちろん各牧場の個人サイトへもジャンプできる。
(「牧場マップ」 <http://jdc.lin.go.jp/map/index.html>)

羊に関するものでは、sheep.jpを見つけた。全国の羊のいる牧場リストはもとより、羊肉の料理から、畜産関係者の個人ページまでが網羅された総合的なリンク集である。世の中には羊好きな人間がかなりいるらしい。
(sheep.jp <http://www.sheep.jp/>)

最近では畜産関係団体もネットで情報を公開している。なかなか牧場へゆくだけではわからない畜産の舞台裏をかいま見ることができておもしろい。なかでも中央畜産会の「畜産ZOO鑑」は羊の飼養技術を子供にもわかるよう丁寧に解説してある。
(畜産ZOO鑑 <http://group.lin.go.jp/data/zookan/kototen/index.html>)

世界で飼養される羊には、メリノとかサフォークとか様々な種類のものがある。「woolmark.jp」では、羊毛製品のお手れなどに関する情報と並び、「ウールの知識」と称して、羊の種類や毛刈りの方法、糸の紡ぎ方など、商品としての羊毛がいかにつくられるのか、現代における羊毛の加工法が写真入りで解説されていて興味深かった。
(woolmark.jp <http://www.woolmark.jp/>)

最後に専門家向けに民族学に関係する海外の牧畜研究のページの紹介をしたい。FAOでは開発をテーマに世界の牧畜研究に関するレビューをおこなっており、PDFでダウンロードできる。特に目を見張るのが巻末の文献目録で、1990年代後半までの研究がかなり網羅的に紹介されている。また囲み記事なども充実しており、この分野に関する最新の教科書としても読むことができる。
FAO 2001, "Pastoralism in the new millennium" FAO ANIMAL PRODUCTION AND HEALTH PAPER 150, Roma.
(<http://www.fao.org/DOCREP/005/Y2647E/y2647e00.htm>)

牧畜研究に関する民族学の国際学会にはCommission of Nomadic Peoplesがある。ホームページには国際学会の情報や雑誌Nomadic Peoplesの目次、新刊案内などが掲載されている。
(The Commission on Nomadic Peoples <http://users.ox.ac.uk/~cnpc/>)

渡辺和之