国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

巻頭コラム

Arabian Nights Highlights! 2004年11月12日刊行

山中由里子

特別展示「アラビアンナイト大博覧会」
2004年9月9日(木)~12月7日(火)開催予定
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/index
一般830円(560円)高校/大学生450円(250円)小・中学生250円(130円)
※( )は20名以上の団体料金です。※常設展も御覧になれます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ Arabian Nights Highlights!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

● アラビアンナイト・ハイライト その3

山中由里子

特別展「アラビアンナイト大博覧会」も残すところあと1ヶ月弱になってしまいました。まだご覧いただいていない方はお急ぎを!
11月は関連イベント、ギャラリートークもパワーアップしております。
特展のイベントカレンダーはこまめにチェックしてみてください。

今日のアラビアンナイト・ハイライトは11月14日に開催しますアラビア書道の講演会のご紹介です。

**───────**────────**────────**───────**
★開けゴマ:アラビア書道の世界

中道静香(大阪大学大学院言語文化研究科助手)

アラビアンナイトの世界では、美しい文字は賞賛の的でありました。こんなお話しがあります。とある国の王子さまが、女性をめぐってイフリート(魔神)の怒りを買い、猿に変えられてしまいます。猿は放浪の末に何とか船に乗り込んで、見知らぬ国の港に到着するのですが、折りしもその国では、能筆家の大臣を失った王様が、新しい大臣を探しておりました。王様が出した新大臣の条件は、亡くなった大臣に負けず劣らず字が上手いこと。家来たちは巻紙と筆をもって王様の眼鏡にかなう人物を探しまわり、とうとう猿の乗っている船にやってきました。この猿、元は高貴なお方ですから、諸学問に通じているのはもちろんのこと、書道の腕前にもかなりの自信がありました。読み書きを知る商人たちが一通り字を書き終わったところで、ここぞと筆をぶん取った猿は、周りのいぶかしげな眼差しもなんのその、リカーウ(ルクア)書体、ライハーン書体、スルス書体、ナスフ書体、トゥーマール書体、ムハッカク書体と6つのアラビア文字書体でもって詩をしたためます。家来が王様のところへ戻り巻紙を見せると、案の定、王様は猿の字をたいそう気に入って「これを書いた人物を連れてまいれ」と命じます。すると家来たちはくすっと笑って「これを書いたのは人間ではありませぬ、実は猿なのでございます」と答えるのです。はじめは驚いた王様も、この事実におおいに喜び、下にも置かぬもてなしようで猿を宮殿に迎えたのでした。
この後には、やや悲しい結末が待っているのですが、とりあえずは彼の美筆がその身を救ったといえるでしょう。

この話には、アラビア書道における6つの書体名が登場します。中でもルクア(書き付け)、スルス(三分の一)、ナスフ(筆写)と名づけられた3書体は、現代のアラビア書道でも基本的な書体とみなされています。ルクアとナスフは、それぞれ手書き書体、標準書体として用いられるもので、あえてたとえるならば行書と楷書の役割に近いでしょうか。スルスはアラビア書道の中でもっとも芸術性が高く、また習得が難しいとされる書体ですが、形態・役割のいずれにおいても日本の書道にその対応物を見つけることは難しいようです。そもそもアラビア書道は、イスラム教の啓典コーランを筆写するところから発展した文字芸術。
日本の書道とは、字を美しく書くという目的を共有しつつも、当然ながらその歴史的背景、道具、規範、美的観点には大きな違いがあり、我々の「書道」の常識が通用しないこともしばしばです。

11月14日に開かれる特別講演会「開けゴマ―アラビア書道の世界」では、このようなアラビア書道をご紹介すべく、世界を舞台にご活躍中の二人の書道家、本田孝一さん、ハサン・マスウーディーさんをお迎えします。本田孝一さんは、日本を代表するアラビア書道家。NHKラジオ・アラビア語講座の記念すべき初代講師を務められましたので、お声を聞かれた方もいらっしゃるかもしれません。
ハサン・マスウーディーさんは、イラクのご出身で、現在はパリで創作活動をなさっています。今回がはじめての来日です。お二人の作品は、「アラビアンナイト大博覧会」特別展会場に展示されていますので、そちらもぜひご覧ください。イベントでは、お二人による実演も予定しております。展示会などで、完成された作品を見ることはできても、その作品が生まれる過程を見る機会はなかなかありません。この機会にアラビア書道の魅力をたっぷりお楽しみください。

**───────**────────**────────**───────**
◆特別講演会「開けゴマ ─ アラビア書道の世界」

日時:11月14日(日)14:00~16:00(13:30開場・先着80名、無料)
場所:本館第5セミナー室
講師:本田孝一(アラビア書道家・大東文化大学国際関係学部教授)
   ハサン・マスウーディー(イラク出身の書道家)
司会:中道静香(大阪大学大学院言語文化研究科助手)
お問い合わせ:06-6876-2151 国立民族学博物館情報企画係

**───────**────────**────────**───────**
☆特別展関連イベント

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/event
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/event_info
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/theater

◆ベリーダンス・パフォーマンス+プチ講習会

11/13(土)、11/23(祝)
14:30~14:50 パフォーマンス 特展1階にて
15:10~15:30 プチ講習会 特展2階シアターコーナーにて
 (15:00より、整理券発行。先着20名受付)

◆ギャラリートーク「アラビアンナイトのしらべ(仮題)」

11/19(金)13:30~14:00 特展1階アラビアンナイトのしらべコーナーにて
講師:水野信男(兵庫教育大学名誉教授)

◆講談「アリババと40人の盗賊」

11/20(土)13:00~13:30 特展2階シアターコーナーにて
シアターコーナーにて上映されている講談を旭堂南海さんが実際に演じてくださいます。

◆ユリコ先生のアラビアンナイト教室

11/21(日)、12/5(日)13:00~14:00 特展2階読書コーナーにて
講師:山中由里子(民族文化研究部助手)
子どもたちにわかりやすくアラビアンナイトを解説します。大人でも「へぇーそうだったのか」といったアラビアンナイトの不思議にせまります。

◆人形劇「アリババと40人の盗賊」

11/21(日)、12/5日(日)14:00~14:30 特展2階シアターコーナー
アラビアンナイト教室でお勉強をしたあとは、人形劇サークル<ぱれっと>による楽しい人形劇を是非ご覧ください。

◆落語版アラビアンナイト

10/29(金)、11/3(祝)、11/27(土)14:00~14:30
特展2階シアターコーナー
桂九雀さんが、アラビアンナイトを落語で演じてくれます。
終了後、ギャラリー対談も予定しています。

◆影絵劇「アラジン」

11/28(日)14:00~14:30 特展会場内にて
出演:田所都(ソプラノ)/安田純子(伴奏)

◆人形劇ギャラリートーク「アラビアンナイトの楽器はどんな音がしたの?…ウードの響きを聴いてみましょう」

11/28(日)15:00~15:30 特展1階アラビアンナイトのしらべコーナー
講師:水野信男(兵庫教育大学名誉教授)

◆ワークショップ

11/28(日)15:30~16:30 特展1階スーク空間(大階段前)にて
出演:佐藤圭一
ウードは中東の伝統的で代表的な弦楽器です。アラビアンナイトの物語にもしばしば登場します。佐藤さんにいろいろな曲を演奏してもらい、フロアのみなさんにも、手拍子で参加していただきます。中東の音楽のリズムには、5拍子や7拍子など、おもしろい複合拍子がたくさんあります。
さーて、サマーイの10拍子はうまくとれるかな?!

◆シアターコーナーでの上映作品(上映時間は下記URLをご覧ください)

  • 3DCGアニメ「ヤング・シェヘラザード」モンキー・パンチ原作
  • 落語「男と仕立屋、ユダヤ人の医者、御用係、キリスト教徒の仲買人の物語」 桂九雀
  • 講談「アリババと40人の盗賊」旭堂南海作

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/theater

**───────**────────**────────**───────**
みんぱくミュージアムパートナーズ企画イベント

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/event_info#partners

☆ワゴン(物語に出てくるものを体感するハンズオン展示)
 金曜日を中心に週に2、3回・1階「アリババの世界」そばにて

☆ぬりえ
 毎日・2階読書コーナーにて

☆アラビア語を書いてみよう
 毎日・2階読書コーナーにて

☆試着コーナー
 毎日・1階試着コーナーにて

☆紙芝居
 土日祝日・11:40~/13:40~/14:40~・2階読書コーナーにて
 (当日、変更がある場合があります)

★関西文化の日イベント「ひとはくフェスティバル」

日時:11月14日(日)10:00~17:00
場所:兵庫県立 人と自然の博物館(当日観覧料無料)

みんぱくとみんぱくミュージアムパートナーズが「アラビアンナイトがやってきた」と題し共同出展します。現在特別展で上映中のアラビアンナイトにまつわる映像を上映するほか、パートナーズ企画の試着、ぬり絵、アラビア文字、紙芝居、ワゴンなどをデモンストレーションします。