国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

民族学にかかわる映像 2007年4月18日刊行

大森康宏

映像には、現実に近い再現能力を持つメリットと映像が現実に近い再現性があるから重大な誤りを生じるデメリットがある。

真実と思わせる映像は劇映画つまりフィクション映画を育んできた。しかし現実を記録した映像は、正確に誤ちなく記録しても、真実と見なされないことがある。レンズは視覚の一部しか記録していないとか、記録自体が主観的ということらしい。とすれば文字表現はもっと主観的である。見たまま伝えるのではなく、頭が考えて表現するのだから。声も主観であるから同じことが言える。とすると、人間みな、真実を正確に他人に伝えることは不可能ということであろうか。いや撮られて、残った記録は、事実である。それが悪く演出されようが記録自体の映像は事実である。この具体的事実と文字で表現する描象理論とを結合することで不確実な人間のいとなみを少しでも解明しようとするのが映像による民族学そして人類学なのである。

大森康宏(名誉教授)

◆今月の「オタカラ」

[img]
会場の様子

[img]
会場の様子

◆関連ページ
開館30周年記念特別展「聖地・巡礼―自分探しの旅へ―」