国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

タトゥー用のノミ・槌・染料入れ 2007年10月17日刊行

桑原牧子

肌に模様を刻み込む、日本では「刺青」として知られる行為をタヒチではタタウ(tatau)という。これはタタウの道具3点セットである。タタウ用のノミは鳥や豚の骨、鮫の歯などで作った針を先につけたものである。染料はククイノキ(candlenut)の実などを焼いた煤を水に溶いて作られた。その染料をノミの歯の部分に浸し皮膚に当て、叩き棒で叩きこんで幾何学模様や動植物をかたどった模様をつけていった。「タタウ」の「タ(ta)」は「叩く」という意味である。伝統的な道具での施術は衛生上の理由から1986年に禁止され、代わりに携帯用電気髭剃り機を改造した道具が使われはじめた。タタウを求める観光客やタヒチ駐在のフランス人が増えはじめ、親戚や友人だけを彫っていた若者の中からプロの彫師となるものが現れると、適切な衛生管理と技術面の向上を求められるようになった。現在、彫師たちはヨーロッパやアメリカのタトゥー・マシーン、超音波洗浄器、高圧蒸気滅菌器、タトゥー専用インクなどを使っている。

桑原牧子(金城学院大学准教授)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:H229179 / 標本名:タトゥー用のノミ
標本番号:H229182 / 標本名:槌
標本番号:H229183 / 標本名:染料入れ

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タトゥー用のノミ・槌・染料入れ(開館30周年記念特別展「オセアニア大航海展―ヴァカ モアナ、海の人類大移動」展示場より)

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タトゥー用のノミ

◆関連ページ
開館30周年記念特別展「オセアニア大航海展―ヴァカ モアナ、海の人類大移動」