国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

錦織 2008年3月11日刊行

韓敏

錦織とはいろいろな色の糸で作る紋織物のことであり、その糸は通常、絹、木綿、麻などによって作られている。多民族共存の西南中国において、錦織は民族の特色を表象する重要なものであり、その装飾品は多種多様で、美しさを競い合っている。少数民族の錦織には壮錦(チワン族の錦)、傣錦(タイ族の錦)、黎錦(リー族の錦)、瑤錦(ヤオ族の錦)、苗錦(ミャオ族の錦)、侗錦(ドン族の錦)などがあり、錦織で作った布団カバー、シーツ、服装、子供のおぶい紐などは工芸品としても高い水準に達している。タイ錦は雲南タイ族地域で作られ、太い線とシンプルな紋様表現を特徴としている。リー錦は海南省リー族が作った錦織であり、黒を基本の色として、青、赤、白、藍と黄色も取り入れている。

チワン錦は明代から朝廷への貢物として指定され、象徴的手法による紋様表現、均整のとれた構図、鮮やかな色彩、強い対称性を特徴としている。チワン錦は、南京の雲錦、四川の蜀錦、杭州・蘇州の宋錦と並んで、中国の「四大名錦」(もっとも有名な四つの錦織)と呼ばれている。チワン錦の製織技法は2006年に中国の国家級非物質文化遺産として登録された。

韓敏(民族社会研究部)

◆今月の「オタカラ」
【上】標本番号:H0215318 / 標本名:広西省チワン族のチワン錦で作られたソファーカバー
【中】標本番号:H0236674 / 標本名:雲南省タイ族地域で作られたタイ錦
【下】標本番号:H191002 / 標本名:海南島リー族の錦織

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海南島リー族の錦織(拡大)
※開館30周年記念特別展「深奥的中国―少数民族の暮らしと工芸」にて公開予定

◆関連ページ
開館30周年記念特別展「深奥的中国―少数民族の暮らしと工芸」