国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

ガネーシャ神像さまざま 2008年10月15日刊行

三尾稔

テレビドラマにも登場する(読売テレビ・日本テレビ系列で今秋放映の『夢をかなえるゾウ』)など、日本でも人気が出ているガネーシャ神。ゾウの頭で人の体、それにぷっくり膨れたお腹がユーモラスでなじみやすいのが人気の秘密なのだろう。この神様、起源であるインドでもヒンドゥー教の大事な神として人々の篤い信仰を集めている。ヒンドゥー教ではガネーシャは、あらゆる災いを払い、事業、学問、結婚や様々な儀式など、およそ人が企図する行為がつつがなく終わるよう見守る神とされる。だからどんな行事や儀式でも最初に祈りを捧げるのはガネーシャだ。すねやすいので一番に呼ばないと行事や儀式を邪魔立てするなどともよく言われる。

ヒンドゥー教の神々はさまざまな素材や形式で形作られ、崇拝される。ガネーシャでも同じことだが、インドでの人気を反映してか、民博にも数多くのガネーシャ神像が所蔵されている。常設展示場にも、金属・土製・竹細工・木彫・プラスチックなど実に多様な素材でガネーシャが姿を現している。仮面や絵画など20以上のガネーシャがいる。鼻の巻き方が右向きが縁起がいいとする地方や人々もあれば、逆の地方もあるため、民博の像の鼻の向きもいろいろである。民博では右向きがやや優勢。今度は、鼻の向きにも注意してご覧になってみると面白いかもしれない。

その民博のガネーシャに、新しい仲間が加わった。10月9日からの企画展「インド刺繍布のきらめき」で紹介する刺繍によるガネーシャである。ガネーシャのいるものを5点ほどお見せする予定だが、どれもインド西部の女性たちが手作りで、糸の使い方や色目を工夫してガネーシャ神を布の上に写し出している。ガネーシャの体は、この地方特有の面取りの技法により、びっしりとした糸目で構成されている。そのひと刺しひと刺しから、神に寄せる信仰の深さが感じられる。また、既成の形象にとらわれない大らかな型取りからは、女性たちの生活の息吹を感じることができる。まさに民博のオタカラと呼ぶにふさわしい品々である。

三尾稔(研究戦略センター)

◆今月の「オタカラ」
【上】標本番号:H0115557 / 標本名:神像
【下】標本番号:H0238304 / 標本名:壁飾り

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◆関連ページ
企画展「インド刺繍布のきらめき―バシン・コレクションに見る手仕事の世界」