国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

花嫁の輿、花轎(かきょう) 2010年1月20日刊行

韓敏

「轎」とは、人を乗せて肩で担いでいく輿のことで、中国で古くから使われてきた乗り物の一つである。華やかな輿を意味する「花轎」は、実家で待つ花嫁を花婿が迎えに行くときに使われる。輿で花嫁を迎える漢族の風習は、南宋(1127~1279)にまでさかのぼる。

中華人民共和国建国後の1950~80年代、この風習は見られなくなったが、90年代に入ると、遼寧や北京、上海、浙江省、武漢、南京、宿州、蘭州、昆明などで古い様式の結婚式が復活し、輿も再び作られるようになった。

花嫁の輿には、担ぎ手の数が2人あるいは4人、8人の3種類がある。この標本資料は4人で担ぐ中型で、安徽省宿州市在住の輿職人、徐子松(85歳)が2008年に作製した。輿の枠組みは竹で作られ、龍鳳などの吉祥図案が施された赤の錦やガラス板が枠組みを飾っている。ガラス板の裏には、中国の4大美女(西施、虞美人、王昭君、楊貴妃)の画像が貼り付けられている。

輿の上の天蓋には、厄払いの鏡や長寿不老の仙人、歴史上の英雄(三国時代の劉備、諸葛孔明、関羽、張飛、趙雲、黄忠、宋代の穆桂英、楊宗保など)の張り子の人形が飾ってあり、めでたくにぎやかな雰囲気を演出している。

輿で花嫁を迎える儀式は、にぎやかで車より費用が安く、環境にもやさしいため、各地で静かなブームとなっている。

韓敏(民族社会研究部准教授)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0254556 / 標本名:竹製花嫁の御輿(椅子付き)

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