国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

民家模型群 2010年3月17日刊行

久保正敏

企画展「水の器―手のひらから地球まで」を企画するにあたり、民博所蔵の水関係の道具類を標本資料データベースで検索したところ、実に多くの資料があることを知った。資料名に水や器などのキーワードを含む資料は4000点あまり、生業、調理、衛生、嗜好(茶や酒)など生活全般に関わるもの、さらに、儀礼における浄めなど水のシンボル作用に関わるものなど、いかに水が生命を支え生活と密着しているかを、あらためて認識した。

じつは、常設展示場にも、水と生活のかかわりを示す資料が多い。なかでも面白いのは、東アジア展示などに見られる合計8件の1/10サイズ民家模型群である。ある日ある時刻の情景を忠実に切り取って再現した民家模型にも、民家の周囲に水に関わる道具類が1/10サイズで再現されている。今はなかなか見られない手押し井戸ポンプ、雨水貯め、川から取水するための水汲みなども、模型をのぞき込んでよく目をこらすと見つかる。

この民家模型群は、外観だけでなく家屋内も詳細に再現されている。一件につき千万円単位の費用がかかったのも、もっともなことだ。

せっかく内部まで再現されているのだから、民家の屋内をじっくり見る仕掛けはできないものだろうか。例えば、最近の鉄道模型の世界では、先頭車両に超小型ビデオカメラを載せて車窓風景を楽しむことがおなじみとなっている。このようなビデオカメラを民家模型の屋内にワイヤで吊り下げ、観覧者がワイヤレスで操作し、移動・パン・ズームした映像をモニタ画面で見る仕掛けができれば、民家模型がいっそう活用できるのではないか、と以前から空想している。

模型やレプリカとは、そのサイズにかかわらず、それを観る者が没入できる、一種のバーチャルリアリティなのだから。

久保正敏(文化資源研究センター教授)

◆今月の「オタカラ」
【上】標本番号:H0009513 / 標本名:曲家の民家模型[日本国]
【下】標本番号:H0105533 / 標本名:済州島の民家模型[韓国]

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◆関連ページ
企画展「水の器―手のひらから地球まで」(2010年3月25日(木)~6月22日(火)開催)