国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

伊勢型紙 2010年4月14日刊行

吉本忍

民博は、開館した当初の1978~80年に、はじめての映像資料作成をおこなった。撮影場所は、本館のスタジオと三重県鈴鹿市の白子(しろこ)と寺家(じけ)で、撮影対象は、型染めという染色技法に用いられる染型紙の製作である。撮影では、国指定の重要無形文化財伊勢型紙技術保持者(人間国宝)をはじめとする方々に御協力いただき、縞彫、突彫、錐彫、道具彫などの彫刻技術と、彫刻した型紙を補強するための糸入れ技術を記録した。製作された型紙は、民博の標本資料として登録した。

3月25日からはじまった企画展「伊勢の染型紙-映像と実物にみる匠の技-」では、これらの昭和50年代のビデオ映像と型紙を、江戸~明治時代の伊勢型紙や見本帳、平成時代の伊勢型紙と、その型紙を使って染められた布やキモノ、現代のプリント技術で染められた反物やキモノなどとともに展示している。日本人の衣服の洋風化にともなってキモノの需要が激減し、手仕事に代わって機械による大量生産が増大しているなかで、伊勢型紙の精緻な匠の技は今もしっかりと継承されている。

吉本忍(民族文化研究部教授)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0065357 / 標本名:伊勢型紙(突彫型紙半成品)捨紙

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伊勢型紙(突彫)の彫刻をする光永安一氏(1980年)[写真提供:吉本忍]

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光永安一氏が彫刻した伊勢型紙(突彫) 国立民族学博物館蔵

◆関連ページ
企画展「伊勢の染型紙‐映像と実物にみる匠の技‐」(2010年3月25日(木)~6月29日(火)開催)