国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

アメモ(人間の顔)[みんぱくのオタカラ 番外編] 2010年11月19日刊行
川口幸也

いま、特別展「彫刻家エル・アナツイのアフリカ―アートと文化をめぐる旅」を開催している(12月7日まで)。エル・アナツイ(1944-)はガーナ生まれでナイジェリア在住、アフリカの現代美術を代表するアーティストである。

近年、アナツイはワインやリカーの瓶のフタや、瓶の首に巻かれているアルミのシールなどの廃品を使った布状の作品を制作することで世界的に知られている。今回みんぱくでは計9点の布状の作品が展示されている。

その中から「アメモ」をご紹介したい。アメモとは人間の顔という意味だ。ほぼ楕円形をしており、長径がおよそ5メートル、短径が同じく4メートルである。優美な色彩と肌合いから、一見するとそれは絨毯のように見える。刻まれた深い襞は人の顔の表情を思わせる。けれども、じつは使い古しの酒瓶のフタの寄せ集めなのだ。アナツイの豊かな想像力によって、廃品は色鮮やかでスケールの大きな布状の作品へと生まれ変わったのである。足もとの文化や人びととのつながりを大事にしたいというアナツイの熱い思いが伝わってくる一点だ。

川口幸也(文化資源研究センター准教授)

◆今月の「オタカラ」
展示品名:アメモ(人間の顔)[エル・アナツイ 所蔵]

[img]

◆関連ページ
特別展「彫刻家エル・アナツイのアフリカ―アートと文化をめぐる旅」(2010年9月16日(木)~12月7日(火)開催)