国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

舞踏用仮面(ジャガー) 2010年12月17日刊行
五月女賢司

みんぱくでは、年末年始展示イベントという小さな干支の展覧会を毎年開催している。ちょうど一年前の展覧会は「とら」をテーマに行った。今回は「うさぎ」展を12月16日から来年2月1日まで開催する。

実はこの展覧会の企画に組み込む形で、毎年みんぱくでは普段展示活動に直接関わることのない教職員を対象に研修を実施している。研修は、展示の企画立案から演示に至る幅広い内容となっている。研修を受講することで、自らの日常業務の役割と位置づけについての理解を深めてもらっている。

さて、ここからが本題。数ある「とら」の収蔵資料の中から「とら」展に登場してもらった、グアテマラの「舞踏用仮面(ジャガー)」を紹介する。新大陸には野生のトラはいないが、トラに似たネコ科ヒョウ属のジャガーはいる。トラが縦縞模様であるのに対して、ジャガーは斑点のような梅花紋である。16世紀に新大陸に渡ったスペイン人たちが、旧大陸にいなかったジャガーを見てトラ(ティグレ)というようになったため、中南米で演じられるジャガーの踊りは現在でもトラダンスと呼ばれる。

ここで紹介する仮面は、研修受講生の一人が写真撮影研修の一環で撮影し、「とら」展で実物、写真パネル共に展示されたものである。大暴れして農民を困らせ、最後には撃ちとられるというあらすじのトラダンスもある中で、この仮面の表情からは、愛らしさと寂しさを感じる。これで次の寅年まで来館者の方々ともお別れだ、と悲しんでいるかのようである。

五月女賢司(文化資源研究センター機関研究員)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0153111 / 標本名:舞踏用仮面(ジャガー)

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撮影:鈴木七美(本館教授)

◆関連ページ
年末年始展示イベント「うさぎ」(2010年12月16日(木)~2011年2月1日(火)開催)
年末年始展示イベント「とら」