国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

杓子(しゃくし)(北海道アイヌ?) 2011年10月6日刊行

齋藤玲子

みんぱくが所蔵する千島アイヌの資料は約80点で、大部分は鳥居龍蔵が1899(明治32)年に収集したものである。千島アイヌの資料は、国内外に現存する資料が極めて少なく、アイヌ文化研究者の間では、貴重な資料として知られている。みんぱくe-news92号(2009年2月)でも紹介されているとおりである。

今回あげた2つの杓子は、みんぱくの標本資料目録データベースでは収集地が「北海道」となっている。しかし、その形や文様は北海道アイヌのものとは異質で、鳥居の集めた千島アイヌのものに非常によく似ている。

来歴はというと、日本の人類学の祖と言われる坪井正五郎の遺族から、坪井の死去した翌年、1914(大正3)年に東京大学理学部人類学教室に寄贈されたものだ。K0001816の資料は、『内外土俗品図集』(長谷部言人監修・東京人類学会編纂 1939 寶雲舎)にも収められているが、それ以上の情報は記されていない。自宅に置いてあったものなのか、詳細はわからない。坪井は1888(明治21)年に根室まで行ってはいるが、本人が集めたものかどうかさえ断定できないように思われる。

これらが千島の資料であったなら、みんぱくのオタカラはまた増えることになる。何とか手掛かりを探したいと考えている。

齋藤玲子(民族文化研究部助教)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:(上)K0001816(下)K0001948 / 標本名:杓子[日本国 北海道<収集>]

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※特別展「千島・樺太・北海道 アイヌのくらし――ドイツコレクションを中心に」にて展示中

◆関連ページ
特別展「千島・樺太・北海道 アイヌのくらし――ドイツコレクションを中心に」(2011年10月6日(木)~2011年12月6日(火)開催)