国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

ブラジル民衆本、リテラトゥーラ・デ・コルデル 2011年12月16日刊行

中牧弘允

民博はブラジル民衆本のコレクションでは世界有数の点数を所蔵している。故ジョセフ・ルイテン氏(民博外来研究員、筑波大学客員教授、天理大学教授など歴任)の収集した小冊子が2596点、その表紙絵に使用されたものを中心に版画1240点、さらにその版木500点、総計4330点にのぼっている。

リテラトゥーラ・デ・コルデルとは「紐の文学」を意味し、紐にかけて売られることがおおかった。ブラジル北東部の庶民のあいだで愛好された詩的形式の文学である。それは「読み物」であると同時に「語り物」でもあり、文字の読めない人びとにも語り継がれてきた。恋愛物語から英雄物語、社会風刺から政治批評まで多種多様なテーマをあつかっているが、新しくなったアメリカ展示でとりあげたのは宗教である。そこでは19世紀末から20世紀初頭にかけて地元で絶大な人気をほこったシセロ神父に現代のローマ法王と対峙させるようなフィクションがほどこされている。また1920~30年代に盗賊団を率いた匪賊(ひぞく)ランピオンを義賊にしたてるうえでダミアン神父が民衆の期待をになう役割りをはたしている。

中牧弘允(民族文化研究部教授)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0112752 / 標本名:リテラトゥーラ・デ・コルデル(民衆的小冊子)

[img]
「2000年までのシセロ神父の預言」

◆関連ページ
新展示フォーラム「たっぷりアメリカ―春のみんぱくフォーラム2012」(2012年1月7日~3月25日開催)
新アメリカ展示