国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

美濃路人形(熊谷直実) 2014年1月17日刊行

小林繁樹

「うま」展が、1月28日まで開催されている。工事の都合で会場は狭いが、「世界のウマの表情」というテーマで、日本、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカと、世界各地からのウマの造形が並んでいる。

日本のコーナーには、その語源となった「絵馬」もある。そして、可愛らしい小振りの人形が多いなかで、その大きさと色彩の鮮やかさでひときわ目立つのが、「美濃路人形(熊谷直実)」の騎馬姿の武者人形である。

「祇園精舎の鐘の声……」の書き出しで始まる『平家物語』は、軍記物として有名で、ウマにまつわる話題も豊富である。一の谷の戦いでは、源義経が鵯越(ひよどりごえ)とよばれる急坂を騎馬で駆け下りる。坂落しの段である。『源平盛衰記』によれば、この時、畠山重忠(はたけやましげただ)は愛馬三日月をいたわって、背負って下りたという。この奇襲で平家軍は総崩れとなる。

そして、熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)が、平清盛の甥である若武者平敦盛(たいらのあつもり)の首を泣く泣く斬りおとすという顛末に続く。人形はその始まり、騎馬で逃げようとする敦盛に、直実が「大将軍が卑怯にも敵に後ろを見せるのか。お戻りなさい」といって扇を上げて招いている場面を表している。

小林繁樹(文化資源研究センター教授)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0011630/資料名:美濃路人形(熊谷直実)

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◆関連ページ
年末年始イベント「うま」(2013年12月12日~2014年1月28日)