国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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みんぱく映画会

2004年6月26日(土)
映像人類学者 ジャン・ルーシュの後継者たち

  • 2004年6月26日(土) 13:30~
  • 主 催:国立民族学博物館
  • 解 説:フランソワーズ・フコー(フランス人類博物館民族誌映画委員会事務局主任)、 大森康宏(民族文化研究部教授)

上映作品:
「火の婚礼」「ある民族学者による中国の日記」「リム・ラム・ロム」「シャンパーニュ地方のかご編み業の誕生」
※日本語による通訳付

 

アフリカで始めた映画によって、世界に新しい映像の光を投じたジャン・ルーシュは、アフリカの地で人生の最後を迎えた。2004年2月18日真夜中、ニジェールの首都ニアメ郊外の自動車事故によって、彼の86年間の生涯は閉じられた。
彼の足跡は、120本以上の映画フィルムと2万枚以上の写真として残された。
彼は民族学者、教育者、映画制作者として多くの人々に接した。その革新的な対話と、エピソードの源は、今となってはすべて彼とともに消え去った。それほど彼の存在価値は大きかった。民族学研究よりも民族誌作成に情熱を傾け、「一冊の民族誌の本、一本の民族誌映画は、後世の人々へ歴史を伝え、ひもとくのに役立っている。人生はたゆみない冒険の連続であり、その一つ一つの冒険は、我々の後に続く冒険者たちへの貴重な教えなのである」と語った。
今回ジャン・ルーシュの後継者たちは、いったいどのような教示を受け映像制作に取り組んだのか、映画を見ながら彼の言う新しい冒険の萌芽を探してみよう。

 

【image】 『火の婚礼(Noces de feu)』
ニジェール・1967 カラー32分 撮影:二コール・エシャール(フランス)

ニジェール、アデーにはハウサ族の鍛冶屋が伝統的な製鉄を今でも行っている。ブベ・メナサラ(人間の息子の鍛冶屋)は、製鉄作業所の主任である。夕方、太陽が沈むと溶鉱炉を作る作業場所を求めて、藪の中に入る。彼は全ての手順を監視し、鉱炉から鉄を作り出すための儀礼を取り仕切る。鉱炉の温度を高めるためのふいごを作った後、ふいごの噴出し口を鉱炉の下に差し込む。この行為は「結婚」を意味する。というのは、鉱炉の壁から空気が挿入されることによって、新しい鉄鉱石が生まれ変わる、つまり処女性を失うからである。炉は地面の中に掘られて、婚礼用の家であり、新婚夫婦が招きいれられる場所を意味する。ふいごの上に炉が据えられている。夜になって、溶けだしてきた鉄のかたまりは、溶鉱炉と婚約した娘たちを意味する。できた鉄は、農機具を作ることによって、その能力を試される。このフィルムは、「女性」とかかわる「鍛冶屋の息子」とその社会における精神的役割を記録している。

 

【image】 『ある民族学者による中国の日記(Journal d'un ethnologue en Chine)』
中国・1988 カラー46分 撮影:パトリス・ファヴァ(フランス)

民族学者であり映画制作者であるパトリス・ファヴァは中国の地方にある村々を巡り歩いた。そこでは、道教を受け継ぐ人々の伝統が今も息づいている。有名なHuangshan(黄山)に登り、仏教と道教の寺院での生活を詳細に描いているー収穫期と14世紀から使われている刈り取り機で小麦を刈り取る方法。Shanxi(山西)では人々による古くからの操り人形、詩書、蕎麦打ちの様子。Hunan(湖南)の夏至の祭りに行われる船競争。Chengdu(成都)の薬草市場。北京の観賞用の鳥市場。上海の気功。これらが記録されている。

 

【image】 『リム・ラム・ロム(Lim, lam, lom)』
マリ・1991 カラー15分 撮影:ナディーヌ・ワノノ(フランス)

マリ共和国のサンガのドゴン族のおとぎ話の再編成。この物語は村の住人であるひとりの娘を通じて語られたものである。

 

【image】 『シャンパーニュ地方のかご編み業の誕生(La Chanpaigne ou naissance d'une vannerie)』
フランス・1969 白黒31分 撮影:クローディーヌ・ド・フランス(フランス)

柳の枝を切るところから、かごが完成するまでの伝統的技法の全記録。

 

『マウリの肉屋(Mahauta Les bouchers du Mawri)』
ニジェール・1967 カラー12分 撮影:マルク・アンリ・ピオ(フランス)

ニジェールのバガギの市場では、週一回肉の取引が行われる。その日は肉屋が取り仕切る。ハウサでは彼らの富は血と死によってもたらされたとされている。

 

『サント・マリー・ド・ラ・メール巡礼-移動民の聖女サラ信仰』
フランス・2003 カラー59分 撮影:大森康宏(日本)

黒い聖サラの伝説をおって、南フランスに移動民族(ロム、シンティ、マヌーシュ)たちが集まる。

 

フランソワーズ・フコー(フランス人類博物館民族誌映画委員会事務局主任)
[学歴]
 '66 フランス国立社会科学研究院 社会人類学博士号取得
[職歴]
フランス国立科学研究センター(CNRS)の上級専門官。
1981年~民族誌映画委員会事務局主任、映画事業普及責任者。
1982年~民族誌映画総合大会責任者および映画振興、海外の民族誌映画企画を担当。


定員 450名(先着順)

参加要領
映画会は申し込み不要、参加無料です。
ただし、特別展・常設展の観覧には別途、観覧料が必要です。

問い合わせ先
〒565-8511 吹田市千里万博公園10-1
国立民族学博物館広報普及室普及係(電話06-6876-2151)


共同開催スケジュール

参加無料 詳細は、各開催地までお問合せ下さい。

大阪
2004年6月25日(金) 18:30~(定員50名)
大阪日仏センター=アリアンス・フランセーズ
上映作品「ある民族学者による中国の日記」「リム・ラム・ロム」「サント・マリー・ド・ラ・メール巡礼」 通訳付
問合せ先:〒530-0041 大阪市北区天神橋2丁目2-11 TEL 06-6358-7391

京都
2004年6月28日(月) 18:00~(定員100名)
京都大学大学院人間・環境学研究科地下大講義室(京大正門前)
上映作品:「火の婚礼」「ある民族学者による中国の日記」
問合せ先:京都大学人文科学研究所 田中研究室 e-mail:shakti@zinbun.kyoto-u.ac.jp TEL 075-753-6931

東京
2004年6月30日(水) 18:00~(定員150名)
日仏会館
上映作品:「火の婚礼」「ある民族学者による中国の日記」「マウリの肉屋」
問合せ先:〒150-0013 渋谷区恵比寿3-9-25  TEL 03-5421-7641