国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2008年3月29日(土)
熊送り儀礼―iomante / 樺太アイヌのシャーマニズム

  • 日 時:2008年3月29日(土) 13:30~16:00(開場13:00)
  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 司 会・解 説:佐々木利和(先端人類科学研究部教授)
  • 定 員:450名(先着順、申し込み不要
  • 参加料:無料(ただし、特別展、常設展をご覧になる方は別途観覧料が必要です。)
  • 主 催:国立民族学博物館
 

イオマンテはアイヌの人びとのもっとも重要な宗教儀礼です。一般に「熊送り」「熊祭り」などといわれますが、対象とされる動物はクマだけではありません。「送り」というのは、「アイヌモシリ(人間世界)」に遊びに来られたクマなどの神を天上の「カムイモシリ(神の国)」へお返し申し上げる儀礼です。久保寺逸彦氏は、はじめてその全容の撮影に成功しました。1936(昭和11)年に撮影した「熊送り儀礼―iomante」は戦前に撮影された熊送り儀礼に関する映画の白眉であり、学問的にもきわめて質の高いものとなっています。それほど重要なフィルムでありながら、映写機やフィルムそれ自体の問題もあってこれまでほとんど公開されることがなく、関西では今回が初めての上映です。また、樺太アイヌのシャーマン(巫女)の映像は、現在これだけが残されています。







上映作品

「熊送り儀礼―iomante」
撮影時期:1936(昭和11)年3月27日~30日
撮影場所:北海道沙流郡平取村二風谷
撮影協力:二谷国松
撮影時間:約90分(白黒、無声)

戦前に記録されたイオマンテは八田三郎、N.G.マンローらのフィルムがあるが、アイヌ民族学研究者の目で、儀礼の開始準備から最後までを記録したものとしては、最古・最大のものである。この記録は戦前に一回、戦後も一回、東京で公開されたにすぎない。

「樺太アイヌのシャーマニズム」
撮影時期:1935(昭和10)年8月
撮影場所:樺太新問(にいとい)
シャーマン:春日コタルンケ
撮影協力:二谷国松
撮影時間:約10分(白黒、無声)

樺太アイヌのシャーマン儀礼の実態を動画で伝える唯一の資料

制作者プロフィール

久保寺逸彦(くぼでらいつひこ)
1902(明治35)年北海道生まれ。1925(大正14)年、國學院大學文学部を卒業。以後、東京府立七中、東京第二師範学校を経て、東京学芸大学教授として国語教員の養成につとめる。1966(昭和41)年、定年退官(同大学名誉教授)の後、駒澤大学文学部に移る。1922(大正11年)年以来金田一京助博士に師事。著書は『アイヌ叙事詩 聖伝・神謡の研究』(1977(昭和52)年岩波書店)。1971(昭和46)年11月5日逝去。 専門はアイヌ語・アイヌ民族学。1934(昭和9)年から1936(昭和11)年にかけて北海道、樺太(現サハリン)のアイヌの伝承者を訪ねて、ユーカラなど口頭文芸の録音やシャーマン儀礼の撮影などをおこなう。

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