国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2008年4月13日(日)
あの山、人々、この愛―スクリーンの中の中国少数民族「山の郵便配達」
 特別展「深奥的中国―少数民族の暮らしと工芸」関連

2008年4月6日(日) 13:30~16:00(開場13:00)
 「雲南の少女 ルオマの初恋」

2008年4月13日(日) 13:30~16:00(開場13:00)
 「山の郵便配達」

電影大国の異名をとる中国は、世界でも指折りの映画製作国です。作られる映画も、文学作品をモチーフにしたもの、政治問題をあつかったもの、アクションものや娯楽作品など、さまざまなジャンルにわたります。中国映画の一つの特徴は、時代に敏感で、そのときどきの社会の関心事や問題を丁寧に扱うことだと言ってよいでしょう。同時に、喜怒哀楽がストレートに表現され、見るものが、映画に自然にひきこまれていく作品が少なくありません。

今回のみんぱく映画会でとりあげる作品は、西南中国の少数民族の人々の日常を描いた秀作2本です。変動する中国社会のなかで少数民族の人々が重ねるさまざまな経験が、美しい自然の風景のなかに丹念につむぎあげられています。今回は、映画の登場人物となったハニ族、トン族の社会のなかで、長年研究を続けてこられた研究者のかたにもお越しいただき、少数民族の人々が育んできた文化の魅力についてもお話いただきます。

  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 定 員:450名(先着順、申し込み不要・参加無料)
  • 主 催:国立民族学博物館
  • 解 説:4月6日 稲村務(琉球大学准教授)、4月13日 兼重努(滋賀医科大学准教授)
  • 司会・解説:4月6日 韓敏(民族社会研究部准教授)、4月13日 野林厚志(文化資源研究センター准教授)

上映作品

「山の郵便配達」 「山の郵便配達」(1999年作品 上映時間93分)
監督:フォ・ジェンチイ(雲建起)
出演:トン・ルゥジュン(滕汝駿)、リィウ・イェ(劉燁)、ジャオ・シィウリ(趙秀麗)
原作:ポン・ヂエンミン(彭見明)
脚本:ス・ウ(思蕪)
製作:瀟湘電影制片廠-北京電影制片廠-湖南省郵政局 共同制作
中国湖南省南部の険しい山岳地帯を、手紙をつめた大きなリュックを背負い、年老いた郵便配達人が黙々と歩いていく。交通手段のない山間部での配達は、二泊三日の過酷な道程となる。この仕事を長年勤め上げた男は、跡継ぎとなる一人息子を連れ、最後の配達の旅に出る。生まれ育った自然の風景、山村の生活、美しい少女との出会い、そして悲しいまでに寡黙な父の後姿。息子は郵便配達という仕事への誇りとその責任の重さを心に刻み込んでいくのであった。
* 1999年中国金鶏賞(中国アカデミー賞)受賞

解説者プロフィール

●兼重努(滋賀医科大学准教授)
1962年山口県生まれ。京都大学文学部卒業。専攻:文化人類学・中国少数民族研究(おもにトン族)。 著書に『講座 人間と環境 第8巻 近所づきあいの風景』『世界の先住民族―ファースト・ピープルズの現在 01東アジア』『同 02東南アジア』(すべて共著)など。1989年以来、トン族の郷に通っている。

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