国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2009年10月31日(土)
そして、私たちは愛に帰る
研究領域「包摂と自律の人間学」

チラシダウンロード[PDF:848KB]

国立民族学博物館では2009年秋から<包摂と自律の人間学>をテーマに新しい機関研究を開始します。 この機関研究と連動して、テーマにふさわしい映画を選び、研究者による解説付きの上映会も始めました。 第2回目は、ヨーロッパにおける移民社会のあり方が描かれている「そして、私たちは愛に帰る」を上映し、多様な価値観をもつ人びとと共生する社会のあり方を皆さんと考えたいと思います。

  • 日 時:2009年10月31日(土) 13:30~16:00(開場13:00)
  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 定 員:450名
    • 整理券順にご入場いただきます。
    • 整理券は10:00より講堂入口にて配布いたします。
    • 事前申込は不要です。
  • 参加料:無料(ただし、常設展・特別展をご覧になる方は別途観覧料が必要です。)
  • 主 催:国立民族学博物館

みんぱくワールドシネマ 映像に描かれる<包摂と自律> 第2回上映会

「そして、私たちは愛に帰る」 The edge of heaven
(2007年/日本語/150分)
【開催日】2009年10月31日(土) 13:30~16:00(開場13:00)
【監督】ファティ・アキン
【出演】バーキ・ダウラク、ハンナ・シグラ、ヌルセル・キョセ、ジュル・クルティズ
【解説】森明子(国立民族学博物館 研究戦略センター教授)
[映画解説]

トルコ系移民2世としてドイツに生まれ、若さ漲るエネルギッシュな作品を精力的に撮ってきたファティ・アキン監督が、愛と死という普遍的な題材を静謐に捉えて、さらなる進化を遂げた、カンヌ国際映画祭最優秀脚本賞受賞作。 互いを深く愛するがゆえに傷つけ合い、いつも心がすれ違ってしまう3組の親子が、ドイツとトルコの間をさまよう中で、容易に解決し難い数々の複雑な社会問題が、ほのかに浮かぶ。 残酷な運命に身を引き裂かれながらも、伝えられなかった想いを旨に刻み、天国の扉が開くまでの猶予を、あるがまま精一杯に生きる。 彼らの凛とした美しさに見惚れるうちに、大切な誰かと熱い抱擁を交わしたくなる、魂のロードムービーだ。

「移民とともに生きる社会」 解説:森明子(国立民族学博物館 研究戦略センター教授)

1960年代、経済成長期のドイツは外国に労働力を求めた。トルコから来た労働者はよく働き、稼いだお金で家族を養い、子供を育てた。 40年たったいま、第二世代の一部は社会に高い地位に就き、別の一部は学校からも社会からも落ちこぼれたと感じている。 一方で、ドイツからの送金を便りにトルコで生活を送っている家族はいまもいる。 ドイツとトルコで、親と子が、まったく異なる社会的背景をもち、異なる文化のなかで生活する状況が生まれている。 異なる文化をもつ人が他人でなく、友人や家族なのである。彼/彼女の文化をどう理解したらいいだろう。 移民とともに生きる社会は、人を理解することを問い直し、家族の意味を再発見させる社会でもある。

■お問い合せ先
国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
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