国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2013年5月12日(日)
私の中のあなた

研究領域「包摂と自律の人間学」


チラシダウンロード[PDF:1.32MB]

国立民族学博物館では、2009年秋から開始した機関研究<包摂と自律の人間学>のテーマにあわせて、研究者による解説付きの上映会「みんぱくワールドシネマ」を実施しています。第5期は<家族のゆくえ>をキーワードに映画上映を展開していきます。今回は、アメリカ映画「私の中のあなた」を上映します。白血病の姉のドナーとして遺伝子操作で生まれてきた妹と家族の愛と葛藤の物語を通して、最新医療の発達が及ぼす家族の問題について、皆さんとともに考えていきたいと思います。

  • 日 時:2013年5月12日(日)13:30~16:30(開場13:00)
  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 定 員:450名
    • 入場整理券を10:00から講堂入口にて配布いたします。
    • 事前申込は不要です。
  • 参加料:無料
  • 主 催:国立民族学博物館

● みんぱくワールドシネマ 映像に描かれる<包摂と自律> ―家族のゆくえ― 第20回上映会

私の中のあなた My Sister's Keeper
2009年/アメリカ映画/英語/109分/日本語字幕付き
【開催日】2013年5月12日(日)13:30~16:30(開場13:00)
【監督】ニック・カサヴェテス
【出演】キャメロン・ディアス アビゲイル・プレスリン
【司会】鈴木紀(国立民族学博物館准教授)
【解説】池田光穂(大阪大学 コミュニケーションデザイン・センター教授)
「映画解説」

アメリカで話題を呼んだベストセラー小説の映画化。白血病の姉のドナーとして、遺伝子操作で誕生した瞬間から、度重なる施術に耐えてきた11歳の妹が、腎臓の提供まで求める両親に訴訟を起こす。とびきり姉と仲のよかった妹の突然の行動と、そこに秘められた切ない真相が、法廷や医療関係者も巻き込み、姉の生命を救うという目的で固く結束してきたはずの一家に、様々な波紋を投げかける。自身も心臓病の娘をもつニック・カサヴェテス監督は、仕事を辞めて治療にすべてを捧げてきた母親をねぎらいつつ、大好きな家族への罪悪感を笑顔に忍ばせる姉や、その間近で成長した妹と弟の複雑な心模様をも、繊細かつ温かなタッチで描き出す。理不尽な運命にもがき、立ち向かい、それぞれに再生していく家族の凛とした姿が胸に迫る、清々しい佳篇である。(服部香穂里)

現代医療が変える家族の情景

原題は『私の姉の付き添い人』の意味です。物語ではその付き添い人が、白血病の一種(APL)に侵される姉のために特別に遺伝子を選別された実の妹であるというかなり特殊な設定になっています。このようないっけん異様な状況の設定にも関わらず、ドラマはどこにでもありそうな「家族の情景」を情感豊かに描きます。ハリウッド映画らしく物語の展開はダイナミックであり、観ている人をぐいぐいと引き込みます。弁護士や法律家など家族を取り囲む人たちも多様な個性があり、現代社会の縮図であるかのようです。私の専門は、現代医療が日常生活にもたらす様々な社会的影響を考察する医療人類学や臨床コミュニケーションという分野ですが、この作品自体が見事な教科書とも言えるでしょう。みんぱくでの上映は、第二日曜の母の日となります。観賞後に母親の愛情とは何か? 母への子どもの思いはどのように変化したか? について考えてみるのも楽しみです。(池田光穂)

「包摂と自律の人間学―世界の映画から知る、家族のゆくえ―」国立民族学博物館 小長谷有紀

教科書やさまざまなパンフレットにえがかれている家族といえば、たいてい両親と男女2人の子どもたち。けれど、実際に統計をみるかぎり、そんな家族はもう平均的なすがたであるとはいえません。シングルの選択、国際的な結婚や養子縁組、日本ではまだ法的に認められていない同性婚、老後のシングルライフ、海外移住など。家族のすがたは変わりつつあります。血縁だけが家族の条件ではなくなる一方で、医療技術の進歩にともなって遺伝子的な近さが新たな意味を持つ時代です。映画にえがかれた家族のすがたから、現代世界を知りながら、今後のゆくえをさぐってみましょう。わたしたちは、いつでも誰かを助けることができると同時に、つねに多くの人びとに助けてもらっている生き物です。だから、自分とは意見のちがう他者を包み込みながら自分らしさをたもっていくことは、豊かに生きるための、1人ひとりの課題です。

■お問い合せ先
国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
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