国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2018年2月10日(土)
テレビジョン

チラシダウンロード[PDF:2.49MB]

国立民族学博物館では2009年度から、研究者による解説付きの上映会「みんぱくワールドシネマ」を実施しています。9年目の今期は<人類の未来>をキーワードに、映画上映を展開しています。今回はバングラデシュ映画「テレビジョン」を上映します。厳格なイスラームを遵守するバングラデシュの小さな村の騒動を通して、宗教と現代文明のあり方を見ていきたいと思います。

  • 日 時:2018年2月10日(日)13:30~16:30(開場13:00)
  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 定 員:450名
    ※入場整理券を11:00から講堂前(本館2F)にて配布します。事前申込は不要です。
  • 要展示観覧券(一般 420円)
  • 主 催:国立民族学博物館
  • 協 力:東京外国語大学
 

●開館40周年記念 みんぱくワールドシネマ 映像から考える<人類の未来>
第39回上映会

テレビジョン Television
2012年/バングラデシュ/106分/ベンガル語/日本語字幕付き <関西初公開・劇場未公開作>
【開催日】2018年2月10日(日)13:30~16:30(開場13:00)
【監督】モスタファ・サロワル・ファルキ
【主演】シャヒル・フダ・ルミ ヌスラト・イムロズ・ティシャ
【司会】菅瀬晶子(国立民族学博物館准教授)
【解説】南出和余(桃山学院大学国際教養学部准教授)
「映画解説」

急激な時代の変化の波に抗う、閉鎖的なバングラデシュの水辺のとある村を舞台に、信仰などにまつわる寓意を随所に忍ばせた、日本劇場未公開の逸品。テレビジョンを”罪深き箱”と排斥し、若者に対し携帯電話の使用まで禁じる集落の村長の息子は、都会に出て自力で商売を始める夢を抱きながら、厳格な戒律を民衆にも強いる敬虔なイスラーム教徒の父親に頭が上がらずにいた。長年仕える使用人が彼の恋人に横恋慕し騒動が巻き起こる中、ヒンドゥー教徒の教師がテレビジョンを村に持ち込んだことで、抑圧されてきた好奇心や自由への欲求に火が付いた人びとの間に、波紋が広がっていく。バングラデシュの気鋭監督モスタファ・サロワル・ファルキは、我が子や村人らを想うがゆえに強硬姿勢を貫く村長にも温かなまなざしを注ぎ、その葛藤やジレンマを通し、さまざまな問題をはらむ国の現況を冷静に見つめる。世界を手軽につなぐ文明の利器の功罪をユーモアたっぷりに問いつつ、想像することの豊かさを生き生きと謳う、アジア太平洋映画祭やドバイ国際映画祭などで受賞した注目作だ。(映画評論家 服部香穂里)

「正しいムスリム」の選択

ベンガル民族でイスラーム教徒(ムスリム)が人口の約9割を占めるバングラデシュの農村を舞台に、現代社会における宗教の在り方を、素朴でコミカルな人びとの葛藤と交渉から問う作品である。敬虔なムスリムの主人公がリーダー(マタボール)を務める村では、電話は必要最低限の使用のみ、テレビが入ってくることは断固として阻止されていた。バングラデシュの他の地域でも当たり前になっているこれらのものの便利さを知る村人たちは、多少の窮屈を感じながらも、マタボールに反発することもできずにいる。その村では海外渡航に必要なビザを取得することも認められていなかったが、メッカ巡礼にもビザが必要であることから解禁となった。マタボール自身も悩んだ末にパスポート用写真の撮影に応じる。しかし、巡礼に行くべく村から首都ダッカに出てきたマタボールを待っていたのは───。テレビ、携帯電話、写真、そして恋愛、生活を便利に潤すこれら「近代の産物」を享受することはイスラームの教えに反するのか?宗教を超えてバングラデシュの人びとが価値をおく大切なものは?本作は、そうした問いに立ち向かいつつも、バングラデシュの人びとの温かさが感じられる「喜劇」である。(南出和余)

 
映像から考える<人類の未来>国立民族学博物館 鈴木紀

国立民族学博物館では2016年度より特別研究「現代文明と人類の未来─環境・文化・人間」を開始しました。これは、現代文明の諸課題に対して解決志向型のアプローチをとる研究です。現代文明は物質的な豊かさと普遍的な価値観を広めましたが、同時に環境破壊や文化摩擦を生み出しています。民族学や文化人類学の立場からは、現代文明の矛盾はどのように現れるのか、そしてその解決策は何かを、地域社会や民族文化に視点を据えて考えることが重要です。みんぱくワールドシネマのねらいは、この特別研究の問題意識を来館者の皆様と共有することにあります。世界の映画を通して、現代文明を問い直し、多元的な価値が共存する人類の未来を展望したいと思います。

■お問い合せ先
国立民族学博物館 企画課博物館事業係
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