国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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特別展「渋沢敬三記念事業 屋根裏部屋の博物館 Attic Museum」|はじめに

特別展に関するお知らせ

 
はじめに

(C)渋沢史料館

渋沢敬三(1896~1963)は幼少時から、生物学者になることが夢でした。しかし、実業界に身を置き偉業をなした祖父・渋沢栄一(1840~1931)の後を継ぐことになり、大学では経済学を学びました。

銀行員となった渋沢は学問への憧れを捨て去れず、親しい仲間たちと学術倶楽部を組織し、玩具研究を始めました。その拠点としたのが自邸内の物置に設けた小部屋です。それを「アチックミューゼアム(Attic Museum)」、つまり屋根裏部屋の博物館と名づけたのです。

玩具から始まった研究は、庶民の生活資料の収集と調査へ向かいます。渋沢はこうした資料を「民具」と命名しました。そして日本の民具研究から周辺諸民族の物質文化の比較研究へと研究領域をひろげ、独自の渋沢民俗学を形成しました。

 

研究機関としての博物館を重要視していた渋沢は、1936(昭和11)年に「日本民族博物館」設立を国に建議しましたが実現せず、39年に自ら東京の保谷(現西東京市)に日本民族学会附属民族学博物館を開設しました。そこに、研究同人たちと集めた民具が展示されたのです。それから35年後に誕生したみんぱくは、アチックミューゼアムの約28,000 件の民具と民具研究の思想を受け継いできました。アチックミューゼアムが私たちみんぱくの原点なのです。

今年、2013(平成25)年は、渋沢敬三の没後50年となる記念すべき年です。これを機に、敬三の人間像と業績を、総合的に検証・研究し、その成果を広く一般に提供することを目的とする「渋沢敬三記念事業」が立ち上がりました。本特別展はその一環として、本館が主体となって実施するものです。

本特別展では、昭和30年頃までの日本各地でつかわれていた生活用具を展示しています。身近な材料でできた手づくりの民具に、自然となじんできた日本人の暮らしの原風景を感じとってくださることを願っています。