国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

特別展「アジアとヨーロッパの肖像」




岸田劉生「童女(麗子立像)」
神奈川県立近代美術館蔵1923年




今回の特別展では、アジアとヨーロッパの人びとが、自らをどのようにとらえ、お互いをどのように受けいれてきたのか。その認識のうつりかわりを、自画像や彫刻、生活用具、写真など、人体表現をともなうさまざまな造形のなかにたどります。巨匠と言われた作家たちの作品のなかに、南蛮屏風やオランダ東インド会社の記録のなかに、マイセンや古伊万里の磁器のなかに、あるいは現代美術の作家たちの挑戦のなかに、アジアとヨーロッパにまたがる、人と人の出会いの記憶と、人が人に投げかけるまなざしのあとがうかびあがります。「ひと」を描くことは、じつは「自分」を語ることでもあったようです。
 
 この展示は、アジア・ヨーロッパの18ヵ国の博物館・美術館が共同で作り上げた国際巡回展です。9月30日から11月24日までは、大阪・中之島の国立国際美術館と2会場同時開催となります。その後、福岡、神奈川での開催ののち、アジアとヨーロッパの5ヵ国を巡回する予定です。博物館と美術館、アジアとヨーロッパの垣根を超えた共同によって、これまでと違った世界が見えてくるにちがいありません。ぜひ、ご覧ください。


◆特別展実行委員長 吉田憲司
レンブラント「自画像」
大英博物館1638年