国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

企画展(新着資料展示)「ポリネシア文化の誕生と成熟」

ポリネシア文化の誕生と成熟

展示紹介
コスチューム

●権力の象徴 ― 葬送コスチューム
今回の展示品の圧巻は、首長の葬儀に際して喪主が着用するコスチューム(heva)です。顔を覆う大きな真珠母貝、ゴージャスな熱帯鳥の尾羽製冠、羽毛製ケープ、細かい真珠母貝製ユニットからなる胸飾りなど、どれをとっても権力を一身に集めた社会の長を送るのにふさわしい豪華さです。クック船長をして「これはわれわれがもっとも価値をおく珍しい品である」と言わしめたこの葬送コスチュームは、一点一点丁寧に復元されており、ハワイ・ビショップ博物館所蔵のオリジナルを凌駕するできばえです。

ラピタ土器
●ラピタ土器が語るポリネシア人のルーツ
ポリネシアへ人類が東南アジアから海を越えてやってきたのは、今から約3000年前のことです。彼らの足跡をたどる上で重要な証拠となったのが、途中の島々から発掘されたラピタと呼ばれる土器の破片でした。すばらしい文様が刻まれたこのラピタ土器の全容はこれまで日本ではほとんど知られておらず、今回展示するラピタ土器(ニューカレドニア出土品の厳密な複製)によってその大きさや精緻な文様システムなどを実際に見ることができます。

女性用耳飾り
●ヨーロッパに匹敵する階層社会
18世紀後半にオセアニアへ3回も探検航海にきたイギリスのクック船長が出会ったのは、秩序ある統率のとれた階層化社会でした。首長や貴族は日がな一日ダンスや歌に興じており、まさに「南海の楽園」でした。首長たちの権威は絶大で、その地位や権力を誇示する棍棒や払い棒、腰掛け、入れ墨などには、すばらしい芸術的意匠が見いだされます。
女性用骨製耳飾り