国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく世界の旅

都市を歩く(1) 『毎日小学生新聞』掲載 2016年6月4日刊行
出口正之(国立民族学博物館教授)
違いに気づいたら・・・それは異文化体験

アメリカの首都ワシントンの道路。日本と異なるところは?

みなさんは海外に行ったことはありますか?今では海外へは飛行機で行くことがほとんどで、まず空港に到着します。空港はたいてい都市部にあるので、最初の海外の経験は都市部になります。そこで、見知らぬ都市を歩けば、だれもが出会うことを4回に分けて書いていきましょう。
何か変な感じ?
 右上の写真は、歩道から見たアメリカの首都ワシントンの道路です。何気ない道路ですが、何か変な感じがしませんか?もしそれに気がついたら、それが最初の異文化の体験です。車が右側を走っています。日本とは逆です。日本は車が左、歩行者が右ですから、知らず知らずのうちに、日本で暮らす人は横断歩道をわたるときに、右に注意が向いています。国によっては左右が逆で、道をわたるときに左から車が来てびっくりすることがあります。


ワシントンの信号の赤信号はてのひらで表しています。

左の写真は、横断歩道の写真です。赤信号です。止まっていないといけませんが、てのひらでストップを表しています。「赤信号が止まれ」ということだと知らなくても、これならわかりますね。

 

台湾・台北の横断歩道。あと11秒で赤信号に変わりますということを示しています。

右の写真は、台湾の主要都市・台北市の横断歩道の写真です。青信号ですが、あと11秒で信号が変わることを示しています。「11、10、9・・」と変化していきます。時間を示す信号機は世界でもめずらしいですが、横断歩道の途中で信号が変わって困ることはよくありますから、世界に広がっていくかもしれません。

 

一口メモ

世界で一番有名な横断歩道は東京・渋谷のスクランブル交差点かもしれません。日常の場所にこそ異文化のかおりがしています。

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