国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく世界の旅

都市を歩く(2) 『毎日小学生新聞』掲載 2016年6月11日刊行
出口正之(国立民族学博物館教授)
住所表示にも特徴

フランスのパリでは通りの名前(左)と住所の番号(中央)を表示しています。

見知らぬ土地を歩くときには住所がたよりになりますが、住所表示もいろいろです。小説の中の架空の探偵、シャーロック・ホームズの住所はロンドン市ベーカー街221bでした。イギリスやフランスの住所はこのように街や通りの名前と、番号で示されます。日本でも京都などは河原町通、四条通といった「通り」で示すことがありますが、多くは「大字○○」とか「○○町△丁目」ですね。通りではなく、集落ごとに住所がつけられています。
 日本の住所が「面」なのに対して、ヨーロッパでは「線」で表示されているということです。縦横が直線で碁盤の目のようになっていることもありますが、たいていは曲線の通りで迷いそうなこともたくさんあります。そこで迷わないように交差点には「通りの名前」が表示されています。


イスラエルのテルアビブでは通りの名前はヘブライ語、アラビア語、英語で書かれています。

しっかりと大きくわかりやすい表示
イスラエルのテルアビブという大きな都市でも、すべての通りに名前がつけられています。日本では交差点には公共の建物名などを使って、信号機に「○○役所前」といったような表示がつけられることが多いですね。テルアビブでは通りの名前をしっかりと大きく表示してあります。交差点ならば信号機のところではなく、まさに角に表示があります。

 

テルアビブの交差点の表示は夜になるとライトがつきます。

日本でも最近は交差点の表示に英語表記が増えてきました。テルアビブでは通りの名前はヘブライ語、アラビア語、英語で表記されています。さらに夜になると、ライトで照らして、夜でも通りを間違えないように工夫がされています。

 

一口メモ

日本では住所の表示の方法についての法律があります。その法律では「線」での書き方も、「面」での書き方も認められています。

シリーズの他のコラムを読む
都市を歩く(1)
都市を歩く(2)
都市を歩く(3)
都市を歩く(4)