国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく世界の旅

マレーシア(1) 『毎日小学生新聞』掲載 2016年10月22日刊行
信田敏宏(国立民族学博物館教授)
活気あふれる多民族国家

ペトロナスツインタワー(中央)

日本から飛行機に乗り、6、7時間ほどで、マレーシアの首都クアラルンプールに到着します。クアラルンプールの街を歩くと、まず目を引くのが「ペトロナスツインタワー」(452メートル)。日本の百貨店が入っている大きなショッピングモールやホテルも林立しています。

マレーシアの活気あふれる街に行き交うのは、マレー人、華人、インド人、出稼ぎで来ているインドネシア人やバングラデシュ人などの多様な民族の人びと。言葉もマレー語、英語、中国語、タミール語といったようにさまざまです。マレー料理店、インド料理店、中華料理店、そして道端の屋台からは香辛料のいい匂いが漂い、どこで食べようかと毎回悩んでしまうほど。もちろん宗教もそれぞれに違います。イスラム教のモスク、仏教寺院、キリスト教会、ヒンドゥー寺院など、人びとは信仰する宗教によって違った場所で祈りをささげています。


山も上までアブラヤシの農園

クアラルンプールを離れ、少し車で走ってみると、ときおり広大なゴムやアブラヤシの農園が現れます。ここではインド人やインドネシア人などが働き、生産されたゴムやアブラヤシパーム油は日本にも輸出されています。

 

華人の屋台街

もう少し奥地へ車を走らせると、山あいに町や集落が点在しています。なかには先住民オラン・アスリが暮らす村もあります。彼らはもともとマレー半島に住んでいた人びとですが、現在はマレーシアのなかでは人口の1%にも満たない少数民族になっています。

次回はオラン・アスリの人たちの暮らしを紹介してみたいと思います。

 

一口メモ

マレーシアの人口は約3000万人。国土はマレー半島とボルネオ島北部。日本との時差は1時間。公用語はマレー語と英語。

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