国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

自然をデザインする:日本の庭園、イギリスのガーデン―人が演出する『自然』

HEP FIVE ロゴ HEP FIVE 学習塾:民博シリーズ
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自然をデザインする:日本の庭園、イギリスのガーデン
人が演出する「自然」

人間と自然の関係を、庭園やガーデンといった
人間が演出してきた自然をとおしてかんがえます。


2002年5月15日(水) / 開演 19:00~

講 師:野林厚志(国立民族学博物館 助手)
ゲスト:福原成雄(大阪芸術大学 環境計画学科 助教授)
    志水彩子(社団法人 大阪府公園・都市緑化協会職員)
場 所:ヘップファイブ8階
前売1500円 当日1800円 全席自由
お問い合わせ:ヘップホール事務局【 TEL 06-6366-3636 】
主 催:HEP FIVE
企 画:千里文化財団
協 力:国立民族学博物館

 

 あなたの家に緑の空間はあるでしょうか。それは庭かもしれません。ベランダにおかれた鉢植えやプランターかもしれません。部屋の中におかれた花瓶のなかにあるのかもしれません。実際に土や植物はなくても、風景画や美しい景色の写真を家の中に飾る人もいるでしょう。大地がはぐくんできた自然という造形物を、人間は身近な場所に、自分たちに優しい形で再現する。それが庭園やガーデンのもとの姿だったのかもしれません。人間は緑の空間を作り出し、その中に身をおこうとしてきました。作り出す緑の空間は、かつて自分たちが調和してきた自然であったり、自分たちが理想としている自然であったりします。そして、調和してきた自然や理想とする自然は、時間と場所によって変化します。例えば、日本庭園とイングリッシュガーデンが異なるのは、それぞれの作り手が囲まれた自然環境や、自然に対する考え方が違うことに他なりません。
 今回の学習塾では、人間と自然との関係を、庭園やガーデンといった人間が演出してきた自然を通して考えたいと思います。自ら作り出す自然には、その作り手や土地の人たちの自然観が少なからず反映されているでしょう。時には、ふるさとへの懐かしい想いが、時には、遠い異国の風土へのあこがれが庭にはこめられます。それはあたかも博物館の展示のように、自分たちの文化と異文化を描き出す、しかけとなって我々の目の前に表れてくることになります。
 地下足袋に軍手でつくりあげる日本庭園、ウェリントンブーツにグローブでアレンジするイングリッシュガーデン、果たしてその実態はいかなるものか。土臭くてもおしゃれでも、どちらも人間がつくりだす作品には違いはありません。作られるのは「自然」なのか、それとも「自然に対するイメージ」なのか。庭いじりが好きな御仁にも、ガーデニングにあこがれるあなたも、庭園やガーデンとは一体、何だろうという素朴な疑問を考えてみませんか。

 

講師プロフィール
野林厚志(のばやしあつし)
国立民族学博物館 民族学研究開発センター 助手
民族考古学専攻。人間と自然との関係に関心をもち、台湾を中心に調査、研究に従事。
昨年は研修のために1年間英国に滞在。

 

福原成雄(ふくはらまさお)
大阪芸術大学 環境計画学科 助教授
海外における日本庭園の実態についての調査に従事すると同時に、自らも数多くの日本庭園の設計、施工を手がける。
2001年には、世界でも有数の園芸展であるイギリスのチェルシーフラワーショウに日本庭園を出展し、金賞と最優秀賞の同時受賞という快挙をなしとげる。

 

志水彩子(しみずさいこ)
社団法人 大阪府公園・都市緑化協会職員
大学卒業後、渡英し、英国を代表する植物園であるキューガーデン、王立園芸協会ウィーズリーガーデンで、ガーデニングの基礎からデザイン学まで学ぶ。内外で、多くの庭園やガーデンのデザイン、アレンジをてがけている。