国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

景観人類学――身体・政治・マテリアリティ  2016年3月24日刊行
河合洋尚 編 時潮社
【共同研究成果】

出版物情報

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主題・内容

1990年代以降、英語圏の人類学界では景観人類学という領域が注目されるようになった。本書は、英語圏の先行研究を踏まえたうえで、その射程と課題を検討し、論集としてまとめたものである。

目次

序 論 景観人類学の動向と本書の枠組み(河合洋尚)
第Ⅰ部 移動性と一時性
第1章 移民と/移民の景観(椿原敦子)
第2章 徒歩者の景観 ――場所・動き・知(土井清美)
第3章 都市のサウンドスケープと芸能の音――香港・九龍半島における中国龍舞の習得と実践を事例として(辻本香子)
第4章 「問題」としての景観――ソロモン諸島マライタ島のアシ(海の民)の事例から(里見龍樹)
第Ⅱ部 競合と相律
第5章 セルフィーが生み出す景観――マッカ巡礼における宗教景観論争と共有のパフォーマンス(安田慎)
第6章 コミュニケーションから創られる場所性――京都市の事例から(岩田京子)
第7章 都市景観をめぐるポリティクス――中国における漢族文化の類型学と〈場所〉の再構築(河合洋尚)
第Ⅲ部 応用アプローチへの可能性
第8章 景観と開発のあわいに生きる――インド・タール沙漠における風力発電開発事業と人びとの世界認識(小西公大)
第9章 リビング・ヘリテージとしての景観――カンボジアにおけるアンコール期/ポスト・アンコール期遺跡の文化遺産保護をめぐって(石村智)
第10章 文化財ポリティックスとしての景観価値――奄美群島における世界遺産登録推進と現地の景観認識(大西秀之)
第11章 地図と景観の現在――気候変動とグーグルアース上における「沈む国」ツバルの視覚化(小林誠)