国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

中東世界の音楽文化――うまれかわる伝統 2016年9月28日刊行

西尾哲夫、水野信男 編著

スタイルノート
【科研プロジェクト成果】

出版物情報

主題・内容

中東世界の音楽文化をめぐる伝統の変容とその現代的展開に焦点をあて、近代以前の音楽伝統といかに連続しているか、あるいは切断されているかについて民族音楽学・文化人類学の視点から考察した論文集である。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

中東世界にかかわる個別の問いかけではなく、人間普遍に通じる問いかけに答える思考枠組の中以外に、現代中東世界が直面している問題解決を志向する手立てはない。民衆や大衆という無標の人びとの生活空間における文化伝統を公共文化として再構築し、これが国民国家形成の基盤となり得るのかどうかという問題と対峙しなくてはならない。中東地域の民主化運動の文化的側面を解明するには、このような作業が必須かつ急務であると確信する。

目次

まえがき(西尾哲夫・水野信男)
本書を理解するための序章(水野信男)
I 伝統を繋ぐ ―大衆音楽という公共空間―
 1 歌に読み込まれた「千夜一夜」
 ――ウンム・クルスームのレパートリーにみる(水野信男)
 2 イランにおける「ポピュラー」音楽の変遷
 ――高尚/低俗の二項対立を超えて(椿原敦子)
 3 ベリーダンサーは何を表現しようとしているのか?
 ――舞踊における意味の深みへ(西尾哲夫)
Ⅱ 伝統を継ぐ ―共鳴する個性―
 4 サントゥール演奏の新しい身体性
 ――「楽器盤面の地政学」へ向けて(谷正人)
 5 東アラブ地域における〝古典器楽〟の成立
 ――音楽家サーミー・アッシャウワーの功績(酒井絵美)
Ⅲ 伝統を紡ぐ ―包摂する感性―
 6 パリで故郷の歌を聴く
 ――モロッコ・スース地方出身の人びと(堀内正樹)
 7 眩惑の反復
 ――あるベルベル吟遊詩人の曲を巡って(小田淳一)
Ⅳ 伝統を創る ―民族音楽学という音楽空間―
 8 小泉文夫が伝えた中東の音楽(斎藤完)
 9 チュニジア「ラシディーヤ」伝統音楽研究所
 ――歴史と現在(松田嘉子)
 10 中東少数派の自己認識
 ――あるシリア正教徒の音楽史観と名称問題(飯野りさ)
資料1 国民国家の中の伝統音楽
 ――オマーンの事例から(樋口美治)
資料2 ラウンドテーブル
 「交錯する芸術 ―中東と西洋―」1
 「交錯する芸術 ―中東と西洋―」2
あとがき(西尾哲夫・水野信男)