国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

『ガラン版 千一夜物語』全6冊  2019年7月18日刊行

アントワーヌ・ガラン、西尾哲夫 訳

岩波書店
【NIHU基幹研究プロジェクト成果】

出版物情報

  • 出版社:岩波書店 出版社ホームページはこちら
  • 定価:3,500円(税抜)
  • ISBN:9784000287739
  • 判型:四六判・上製函入
  • 頁数:平均320頁
  • NIHU基幹研究プロジェクト「現代中東地域研究」成果

主題・内容

18世紀初頭、フランス人アントワーヌ・ガランによって最初にヨーロッパに紹介されたガラン版『千一夜』(仏語)をもとに、最新の研究成果を踏まえて読みやすい現代の日本語に、西洋語以外では初めて全巻を翻訳。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

ガランの仏訳の元になったアラビア語写本(ガラン写本)とも照合し、日本人読者にわかりやすいよう訳注を付けた。各巻に中東世界やアラブ文化の専門家である訳者による、千一夜物語成立史・時代背景がわかる解説付き。アラビアンナイトの謎をいっしょに解明してみよう。

内容紹介

■第一冊(ガラン版第一巻・第二巻)

古代ペルシアの王シャフリヤールは、弟王の訪問を受けたことがきっかけで王妃の不倫現場を目撃。以来、女性不信にかられた王は、一夜限りの妻を迎えては翌朝に殺す、という掟をつくる。国中の若い娘がいなくなる事態に、賢く勇気ある宰相の娘シェヘラザードが自ら王の花嫁に志願する。夜明け前に妹ディナールザードの最後の願いにこたえ、シェヘラザードはそらんじている物語を語り聞かせる。そのあまりの面白さに続きを聞きたくなった王は、次の晩まで彼女を生かしておくことにする。 こうして千と一夜の物語が語り始められる・・・。

 

「枠物語―シャフリヤール王とシャフゼナーン王」「商人とジン」「漁夫の話」「王子である三人の遊行僧とバグダードの五人の娘の話」など

 
■第二冊(ガラン版第三巻・第四巻)

第二冊目は、いまや大金持ちとなった船乗りシンドバードが貧しい荷担ぎ屋ヒンドバードに世にも不思議な七つの航海の話を語って聞かせる話、林檎のせいで夫に殺されたある女性の一件に関わった奴隷に恩赦を与えるため宰相がカリフに語った「三つの林檎の話」、骨を喉につまらせて死んだ道化の殺人の罪をきせられたキリスト教徒の商人が死刑にされかけたとき、下手人として名乗り出たカシュガルの御用商人、ユダヤ教徒の医師、仕立屋がそれぞれ面白い話を披露して罪を免れようとする話が語られる。

 

「船乗りシンドバードの話」「三つの林檎の話」「せむしの話」など

 
■第三冊(ガラン版第五巻・第六巻)

第三冊目の前半は、第二冊目の話の続きで、仕立屋が語る物語の中に出てくるおしゃべりな床屋と、彼が語る六人の兄たちの話。仕立屋の話の面白さに満足したスルタンは、その床屋を呼び寄せ、現れた床屋が喉元の骨を取り除くと死んだはずの道化が蘇る。後半には、ベルシア王族につらなる名家の貴公子とカリフのお気に入りの後宮の美女との許されざる恋の物語、なかなか結婚しない王子と王女が妖精のいたずらで出会う不思議な話、さまざまな冒険を経てようやく結ばれたこの二人の間の王子たちの話などが語られる。

 

「ベカルとカリフ、ハールーン・アッラシードのお気に入りシャムスンナハールの話」「島の王子カマルッザマーンと中国の王女バドゥールの愛の話」など

 
■第四冊(ガラン版第七巻・第八巻)

第四冊目からは、何夜という区切りがなくなる。バスラの王の命で宰相が買った美しい女奴隷と宰相の息子ヌールッディーンの物語、ペルシア王と海の王女の間に生まれた王子とサマンダル国の王女の縁談をめぐる物語、ダマスカスのある商人の息子がカリフのお気に入りの貴婦人を助け出す物語、バスラの王子が父王の死後、夢に見た老人の導きでジンの王に出会い、さまざまな冒険をする話などが語られる。

 

「ヌールッディーンとペルシアの美姫の話」「ペルシアの王子ペデルとサマンダル国の王女ジャウハルの話」「愛の奴隷、アブー・アイユーブの息子ガネムの話」「ザイヌルアスナームとジンの王の話」など

 
■第五冊(ガラン版第九巻・第十巻・第十一巻冒頭)

第五冊目は、旅人に身をやつしたカリフのハールーン・ アッラシードに出会った商人が、目が覚めたら一日限りのカリフにされてしまうという「目覚めて眠る者の話」、貧しい少年アラジンが魔法のランプの精のおかげでスルタンの姫と富を手に入れる「アラジンと魔法のランプ」の話、お忍びで夜のバグダードの街を歩くカリフが出会った三人の人物、盲人のババ・アブダッラー、雌馬を責め続ける若者シーディー・ヌウマーン、一夜にして貧乏人から大富豪になったコギア・ハサン・アルハバルの不思議な物語が語られる。

 

「目覚めて眠る者の話」「アラジン、もしくは魔法のランブの話」「カリフ、ハールーン・アッラシードの冒険」など

 
■第六冊(ガラン版第十一巻・第十二巻)

第六冊目は、「開け、ゴマ」の呪文で有名な「アリババと女奴隷に殺された四十人の盗賊の話」、魔法の木馬で空を飛んでベンガルの王女に巡りあったペルシアの王子の話、美しい妖精パリバヌーと結婚したアフメッド王子の話、スルタンと結婚した妹を妬んだ二人の姉が捨てた妹の三人の子どもたちが、御苑長官に拾われて大切に育てられ、三つの宝を探す冒険に出る話などが語られる。

 

「アリババと女奴隷に殺された四十人の盗賊の話」「魔法の馬」「アフメッド王子と妖精パリバヌーの話」「妹に嫉妬した二人の姉の話」など