国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

ポスト社会主義以後のスラヴ・ユーラシア世界――比較民族誌的研究(国立民族学博物館論集4)  2016年3月31日刊行
佐々木史郎、渡邊日日 編 風響社
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

混沌たる21世紀の時間軸を探る
多様な時間軸が交錯する現代史。「社会主義以前からポスト社会主義以後」にいたる変転はまぎれもなく大きな軸の一つである。先祖返りや逸脱・硬直・進化までさまざまな現象は、いずれも現実である。変転する社会と視座を検証する、貴重な人類学的試み。

目次

序論 ポスト社会主義以後という状況と人類学的視座(渡邊日日・佐々木史郎)
1 ポスト社会主義研究は「幽霊」か
2 ポスト社会主義以後という問い
3 ポスト社会主義人類学の反省
4 ポスト植民地主義論との関連
5 本書の構成
6 結語に代えて
社会主義へのノスタルジーの背後──スロヴァキア村落部における「革命」の記憶とデモクラシーを実践する試み(神原ゆうこ)
序――体制転換後の社会における記憶
1 チェコスロヴァキアの「革命」とJ村の「革命」
2 亀裂の記憶
3 デモクラシーの試みとノスタルジーの共存
教育の現代化と地域主義──民俗音楽におけるモスクワの2つの事例から(柚木かおり)
はじめに
1 2004年の事例と考察
2 2010年の事例と考察
おわりに
ロシア正教古儀式派教会の展開に見る「伝統」の利用──ロシア連邦ブリヤート共和国におけるセメイスキーの事例より(伊賀上菜穂)
はじめに
1 古儀式派のタイポロジー
2 セメイスキーの信仰状況
3 容僧派(ノヴォジプコフ派)教会とセメイスキー
おわりに
イスラームと民族的伝統の布置──社会主義を経たカザフスタンの事例から(藤本透子)
はじめに
1 イスラームの歴史的記憶
2 ナショナリズムのもとでのイスラーム政策
3 村落社会におけるイスラームの展開――伝統をめぐる3つの立場
おわりに
社会主義とイスラームの狭間で──ポスト社会主義後ウズベキスタンにおける豚の流通をめぐる調査報告(今堀恵美)
はじめに
1 タシュケントにおける食肉用動物および精肉販売にみられる特徴
2 豚に携わるムスリム
3 ポスト社会主義後の意識変化――肉加工食品の変遷
おわりに
モンゴル国遠隔地草原におけるポスト・ポスト社会主義的牧畜(尾崎孝宏)
はじめに
1 郊外と遠隔地
2 ポスト・ポスト社会主義
3 オンゴン郡について
4 牧民の集団構成
5 1998〜2001年の変化
6 2001〜2008年の変化
7 家畜頭数の変化
8 考察
おわりに
年金と自然に生きる村ウリカ・ナツィオナーリノエ──ポスト社会主義以後の時代の極東ロシアの先住民族社会(佐々木史郎)
はじめに
1 研究対象と視野
2 村の立地と住民構成
3 村の歴史と住民の履歴
4 ポスト社会主義時代とその後を生きる先住民村落――比較考察
おわりに
中国村落社会における墓と祖先祭祀の変遷──ポスト改革開放期における共産党の政策と人々のいとなみを中心に(川口幸大)
はじめに
1 祖先を祀るということの来歴
2 ポスト改革開放期の村落社会と清明節
3 現代中国における清明節の祖先祭祀
おわりに
あとがき
索引