国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

民族学者の仕事場:Vol.4 近藤雅樹―「人はなぜおまじないが好き」

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「人はなぜおまじないが好き」
─ 尼子騒兵衛さんの漫画に「人はなぜおまじないが好き」というのがあります(『PHP』増刊号 2001年10月)。そこに「近藤雅樹先生」が登場して、こんなふうに講義している。
「人間は現実を見ない、夢を見てる方が好きなんです。死んだらそれまでよ、じゃつまらないでしょ。異界がある、そしてチャネリングしてコントロールしようとする。まじないや占いはすてきな夢をみせてくれる。人はそれに惹かれるんです」と。
これが、さっきの現実世界へのベールということになるわけですね。
近藤 はい。ベールという表現が必ずしも適切だとは思いませんが、そっけない何もないところに、ハダカのままではいられないんですよ、人間って。
─ それで「都合の悪いお告げは気にしない」というわけですね(笑)。
 

「人はなぜおまじないが好き」 「人はなぜおまじないが好き」
 
※尼子騒兵衛「人はなぜおまじないが好き」〈『PHP』増刊号 2001年10月〉より

 
【目次】
千里ニュータウンと地域の農具美大でおぼえた民具の図解神聖視される酒造の道具描いているうちに、絵よりモノのほうがおもしろくなったイラストレーター時代民具の最初の現地調査栴檀は双葉より芳し民具とはなにか?空き缶も民具になる母から娘へ伝えられる「おんな紋」モノがもつ魂博物館で展示企画にあたる「人魚のミイラ」――標本資料の真贋少女たちの霊的体験の研究「人はなぜおまじないが好き」海外の日本民具を調査近代日本のへんな発明 ─『ぐうたらテクノロジー』*(参考資料)さまざまな画法*