国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

樫永真佐夫『ハノイの異邦人』 ─ 9.米と納豆

樫永真佐夫『ハノイの異邦人』

9.米と納豆
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 伝統的には黒タイも白タイも餅米を食べていました。でもベトナムになってからは、農業政策などの影響で、ふつうはうるちを食べています。ちょうど夏の収穫期でした。この時期はうるちです。毎朝、村で豆料理と米を食べました。この日は納豆です。納豆はチベットから雲南にかけての照葉樹林帯が起源といわれます。この地域も照葉樹林帯の文化的影響が強く、納豆、なれ鮨、味噌、豆腐なども食べます。
 
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 調査のときに家族写真を撮ると喜んでもらえます。写真は、90歳を越える、村の最長老が住む家族です。
 写真といえば、調査はふつう単独でしますから、調査していると自分の写真ってないものです。ぼくが泊めてもらっていた家の女の子が、いつもぼくの視界の中と外を行ったり来たりしてはにかんでいます。彼女は、写真を撮ってやろうというと逃げるくせに、何度もお出かけする衣装に替えては、ぼくの視界の端にあらわれます。それでお母さんに、「田圃に行くのに、なんでそんなきれいな服着ているの!」と叱られていました。村にいると、そういう微笑ましいことがよくあります。その女の子に頼んで撮ってもらったのが、ここにあるぼくの写真です。
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[2002年7月]
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