国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究テーマ・トピックス|印東道子

オセアニアにおける人間居住がもたらした環境破壊

 
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花粉分析用サンプルの採取風景

人間はオセアニアの島嶼環境に居住を開始したあと、自然環境に対して様々な形の破壊を行ってきました。たとえば、天敵もなく島で平和にくらしていた鳥の一部は絶滅し、漁業資源は乱獲されました。島を覆っていた森林は切り開かれて火が放たれ、イモ類の畑が作られました。地中にのこされた花粉の変化や炭化粒の増加などを調べると、このような自然改変の様子がわかります。


遺跡を発掘して人工的な遺物のみを分析するのとは別に、人間が島の環境に引き起こした変化も研究しています。その結果、オセアニアの人々は自然と共存しているように見えるけれど、実は自然破壊を行いながら生活していたことが明らかになってきています。

 
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花粉分析用に使う土壌コア
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マンガイア島のタロイモ水田。島をおおっていた森林は切り開かれ、まるで水稲耕作をしているような風景が作り出された。
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海抜数メートルしかない環礁の島。石も粘土もないこのような島で生活するには、外部との接触が大切だった。発掘からは様々な輸入物資出土する。