国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

自然との共生(5) ─ 極地と温暖化 ─

異文化を学ぶ

極地では、温暖化のために永久氷河や凍土が溶けだしたり、天候が不安定になったり、アザラシなどの生態や分布に変化が起こりつつある。このような現象がこのまま続けば、そこに住むイヌイットらの生活は根底から変化を余儀なくされるだろう。温暖化の影響は世界各地で起こっている。

自然の力には人知は及ばない。しかしその脅威に、人類によるあくなき富と快楽を追及するための生産・社会活動が知らぬ間に加担してしまった場合がある。そのひとつが地球の温暖化現象だ。

この温暖化の問題を解決するためには、われわれひとりひとりが地球の一員であるという自覚をもち、自らの欲望をほんのすこし我慢することによって生活を簡素化させ、間接的に人類全体の生産・社会活動を抑制させるしかないのではないか。

国立民族学博物館 岸上伸啓

毎日新聞夕刊(2005年5月18日)に掲載