国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

中国と世界(1) ─パリのカルチェ・シノワ─

異文化を学ぶ


パリのカルチェ・ラタンは学生街として知られるが、カルチェ・シノワとよばれる中国人街もいくつかある。パリ13区のカルチェ・シノワはヨーロッパでも最大級で、中国をはじめ、ベトナムやラオス、タイ系のレストランや食料品店、雑貨店、中国系のスーパーマーケットが軒を連ねている。

当初ここには、パリの若い富裕層をターゲットとした高層住宅が相次いで建設されていたのだが、そのねらいは外れてしまっていた。その代わりというわけでもないが、1970年代半ばから急増した中国や東南アジアからの移民が、この地区に住居を求めて集まってきたのである。すれ違う人の大半がアジア系であり、パリにいながら異国情緒、そして具だくさんのスープ(ラーメン)が味わえる地区になっている。

国立民族学博物館 園田直子
毎日新聞夕刊(2007年12月5日)に掲載