国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

モノめずらしいくらし(8) ─ 携帯電話2 ─

異文化を学ぶ

前回に続き、フィリピンの携帯電話の話。「携帯電話でのメールが社会を変える」。そんな言葉がささやかれるようになった。フィリピンでは「携帯メール」のことを「テキスト」という。エストラダ前大統領は、クーデター(coup d'etat )ならぬクーデテキスト(coup d'text )によって失脚したとやゆされた。汚職を批判して15万人以上もの人々が反大統領集会などに参加し、政権を退陣に追いやった。この多くが携帯メールの呼びかけで集まったのだ。

携帯メールは、海外で働く多くの家族や友人との便利な通信手段にもなっている。しかし、それにしても日々メールを送る携帯電話のバッテリーはよく切れる。携帯電話やバッテリーのニセモノが多く出回っている。本当に社会を変えることができるのだろうか。

国立民族学博物館 石井正子

毎日新聞夕刊(2005年9月21日)に掲載