国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

グローバルとローカル(6) ─ 村から世界へ ─

異文化を学ぶ

日本からアフリカは遠い。マスメディアで報じられるアフリカは、我々が住むグローバルな世界から見た、非常にローカルな世界のことである。グローバルが標準であり、ローカルが特殊であるゆえに、我々からはアフリカの世界が見えにくい。しかしローカルといわれる世界からグローバルな世界はよく見える。

アフリカには世界各地へ移動して貿易を行う商業民がいる。飛行機や携帯電話、インターネットを利用して世界の先進地域とアフリカをつなぎ、衣料や食器など日用生活品や、テレビやコンピューターなどの精密機器の物流を担う。電気や水道のない村でゴザに寝転びながら、商品を満載したコンテナの到着を携帯電話で知る。香港やバンコクで買い付けをする彼らもまた国際ビジネスマンである。

国立民族学博物館 三島禎子

毎日新聞夕刊(2005年11月9日)に掲載