国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

いきいき五感力(1) ─ 気づきと築きの触文化展 ─

異文化を学ぶ


現在、民博で開催中の企画展「さわる文字、さわる世界」では、全ての来場者に通常文字と点字を併記したパンフレットを配布している。副題に「触文化が創りだすユニバーサル・ミュージアム」を掲げる本展。ユニバーサルの意味を考える素材として、大多数の健常者には読めないボチボチが入ったパンフがあるわけだ。

博物館の展示に引き付けてユニバーサルを定義すれば、五感の持つ可能性を切り開くこととなろう。見ることが中心だった従来の博物館を抜け出し、さわる楽しさを来場者が共有する。

五感のうち一感を使えない障害者のイメージを打破し、一感を使わないからこそ得られる経験があることを訴えたい。点字入りパンフから触文化への気づき、ユニバーサルに向けた築きが始まる!

国立民族学博物館 廣瀬浩二郎

毎日新聞夕刊(2006年4月5日)に掲載