国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

色(3) ─ 韓国のチマ・チョゴリ ─

異文化を学ぶ


真っ青な空の下、稲が実り黄金色に広がる大地、そこに真っ赤な唐辛子が干されている。青と黄と赤のコントラストが韓国の秋の色だ。それは天、地、人を意味する三太極とよばれる伝統模様色にもなっている。春の色は、ピンクと黄と緑だ。長い冬が終わると、ピンクの朝鮮ツツジ、黄色のレンギョウの花が咲き、緑の柳が芽吹き出す。これら原色を、彼らは民族衣装チマ・チョゴリの色とし、これをまとった女性の姿を、空に舞うチョウの姿になぞらえた。

一方、彼らは「白衣民族」ともよばれてきた。今でも葬儀には白い喪服を着用する。植民地時代、独立宣言を起草した崔南善は白色を太陽崇拝と結びつけて考えた。それはまた、色染をしないそのままの色でもあった。原色も白色もいずれも、自然の色なのである。

国立民族学博物館 朝倉敏夫

毎日新聞夕刊(2006年10月18日)に掲載