国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

成長と試練(7) ─ みんぱくは30歳 ─

異文化を学ぶ


「異文化を学ぶ」も通算99回を数えた。今回のテーマは「成長と試練」。成長するためには試練が必要だ。文化人類学にみる試練(成人になるための儀式)には、割礼、バンジージャンプなどがある。現代日本では、それが失われ別の試練が生まれた。

熾烈(しれつ)な競争社会の韓国でもワンタと呼ばれるイジメがある。被害に遭った子どもを守るため警備員を雇う親もいれば、「ワンタ保険」が話題にもなる。イジメをなくすには、イジメのある社会、ない社会、「異文化を学ぶ」意味は大きい。やりたいことをやる自由と責任、周りからのあたたかい激励が必要なのだと思う。

みんぱくは今年、開館30周年。不惑をめざし、さらに成長したい。読者の皆さんに感謝し、さらなる激励をお願いしたい。

国立民族学博物館 朝倉敏夫
地の先へ。知の奥へ。みんぱく開館30周年
毎日新聞夕刊(2007年3月28日)に掲載