国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

休暇とバカンス

(1)ゲストは留守番!? 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2009年6月3日刊行
近藤雅樹(民族文化研究部教授)

麦わら細工を売る露店
1997年の暮れを私はミュンヘンで迎えた。民族学博物館2階のゲストルームは、ほぼ5メートル四方の広さで、簡単なキッチンとシャワー室、トイレ付きだった。

アルプス以北の11、12月は、毎日が陰鬱(いんうつ)な曇り空だ。しかし、私の面倒を見てくれたチベット文化研究者のR氏は、「クリスマスが過ぎたら晴れるさ」と、慰めてくれた。

確かに、その通りになった。そして、私は、キリスト生誕の日が年越しの日にセットされたわけを理解した。久しぶりに姿を現した太陽のまばゆさに、人びとは、春の訪れを実感したのだ。クリスマス市に並ぶ黄金色の麦わら細工の飾り物は、太陽そのものだ。

クリスマスツリーは、日本の門松にあたる。また、サンタクロースは、ナマハゲと同じく来訪神なのだ。日本には、よい子に贈り物をもたらす「良いサンタ」しか紹介されていないが、本当は、悪い子をこらしめる「悪いサンタ」とペアでやって来るのだ。

12月半ば、R氏は、夫人の郷里に向かった。他の館員たちも、相次ぎクリスマス休暇に入り、博物館も休館に。私は、宿直の守衛と2人で留守番をすることになった。
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