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旅・いろいろ地球人

涼を飲む

(2)カヴァで寝不足知らず 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2009年8月12日刊行
丹羽典生(研究戦略センター助教)

木陰でカヴァの席を囲む
雨期と乾期の違いを除けば季節が移ろう実感の乏しい南太平洋のフィジーでは、年中似たような季候で、おおざっぱにいうと暖かいか、暑いかの2種類となる。  

とはいえ、おもに滞在していた村は乾燥地帯に位置していたこともあり、日本の夏と異なり、蒸し暑くはなく、日陰にはいると過ごしやすい。

夏場の農作業の合間には、日陰の中でゆっくり流れる風を楽しみつつ、砂糖をたっぷりいれた熱い紅茶を両手大の鉄製のお椀(わん)で飲むのが常で、相伴するのが楽しみであった。

年初は一年で一番暑い時期で、寝苦しい季節となる。しかし、幸いなことにフィジーにはカヴァがある。カヴァとは南太平洋一帯にある伝統的な飲料で、胡椒 (こしょう)科の灌木(かんぼく)の根からつくられる。アルコールは含まれないが、鎮静作用が強く、眠気をもたらす効果たるや絶大である。

カヴァを飲んだあと、ストンと落ちるように眠りにつくこととなる。おかげでフィジー滞在時、クーラーや扇風機がなくても、暑くて夜寝られず翌日寝不足で苦労したという経験はない。これで二日酔いがなければ世界最高の飲みものだと思う。
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