国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

涼を飲む

(4)サトウキビジュース 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2009年8月26日刊行
樫永真佐夫(研究戦略センター准教授)

サトウキビの現地販売

ハノイから西に50キロほどで、北部デルタは尽き、ホアビンの丘陵地に入る。水田にならない緩傾斜に、めいっぱいサトウキビ。ほとんどがハノイ郊外の製糖工場に出荷される。

サトウキビは、ジュースもおいしい。砕いた氷のうえに、圧搾した汁をたっぷり注げばできあがり。のどごしさわやかで、しかも安い。仕上げに、スダチを絞るのもよし。ベトナム語でミアダーとよぶ。

ミアダーは中部がおいしいとよくいわれるが、ベトナム中を走り尽くしているベテラン運転手タンさんは、ホアビンが最高という。

7年ほど前、調査帰りに当地を走っていた。軒先にサトウキビ圧搾器をおいている少数民族ムオンの家を見て小休止、ミアダーを注文した。店番していたのは、思いもかけない美少女だが、「時間かかるけど」なんていうので、いぶかしがった。まもなく小学生の弟が、氷を買いに数キロの先の町まで自転車で向かう。それで合点した。代金も、半分以上が氷代だろう。

今ではそこにも電気が来て、近くに大きな食堂もたった。当時の少女の家もない。彼女も町に出てしまったことだろう。

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