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(2)神さまカレンダー 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2011年9月15日刊行
三尾稔(研究戦略センター准教授)

村の祭礼の始まり。家々から古カレンダーを持ち寄って、寺院の祭壇を飾りたてる
インドのたいていのヒンドゥー教徒の家には神々の絵が飾られている。よく見るとそれは会社名入りの古いカレンダーであることが多い。

古カレンダーが大切にされるのは、彩色豊かに神々の特徴をよく表す絵が使われているからである。その背景には神として形象されたものには何であれ神格が宿るというヒンドゥー教の信仰がある。宣伝商品でも神が描かれていれば粗略には扱えない。むしろ大事に保存して礼拝に用い、すり切れて川や池に流さざるを得なくなるまで使う。インドの神さまカレンダーはアートと日常的な信仰の合間にあるものと言えるだろう。

社名や商品名が神々とともに何年も目に触れられるのだから、商業広告としての価値は抜群である。19世紀末、印刷技術や近代的宣伝手法がインドに浸透すると、多くの会社が流行画家の絵に範を取ったさまざまな神々の絵をカレンダーに用いるようになる。これがインドのポピュラーアートが花開くきっかけとなった。欧米の企業もそれにならい、海外で印刷されたヒンドゥーの神々も大量に流通するようになる。

神さまカレンダーは人と神だけではなく、インドと世界をつなぐ媒体となったのである。
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(2)神さまカレンダー 三尾稔
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