メソアメリカには、マヤ文明やアステカ文明など、高度な古代文明が栄えていた。そのためか、中米のほかの地域に比べると、現在でも段違いに物作りが盛んである。
自分たちが着る服はもちろん、土器や、籠などの日常具をはじめ、観光客が喜ぶような工芸品がたくさん生みだされてきた。
しかしながら、大量に安価なものを作り出す現代文明の影響か、ここ20年あまりの間に、ものづくりが急速に衰退している。それは言語や宗教などの他の分野にも及んでいる。
そのため、1980年代後半から、自分たちの文化や言語が消滅の危機に瀕(ひん)していることに気づいた人々が、自分たちが受け継いできたものの価値に目覚め、何とかそれらを守ろうとする運動が盛んになっている。
マヤ文明は高度な暦を発達させたが、16世紀に征服されてのち、文字や暦は一部を残してほとんど失われた。
その暦を現代に活(い)かそうとする試みがこの10年あまりの間に盛んになり、いま古代暦を利用したさまざまな種類のカレンダーが作られている。それらは彼らの遠い先祖から続く遺産を利用して、自分たちの誇りを回復する試みのひとつとなっている。
シリーズの他のコラムを読む
-
(1)自家製と既製 齋藤晃
-
(2)イヌイットの版画 岸上伸啓
-
(3)暦を誇りに 八杉佳穂
-
(4)ルーツを描く 鈴木紀
-
(5)「古代」生かした土器 関雄二
-
(6)コーヒーより人を 中牧弘允
-
(7)アーミッシュキルト 鈴木七美