国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

組織

(6)みんぱくの青い鳥  2014年10月30日刊行
出口正之(国立民族学博物館教授)

帆走するパートナーズ設計の模型船=国立民族学博物館で2007年10月、筆者撮影

チルチルとミチルは、外の世界で「青い鳥」を探し回るが、最後には「青い鳥」は家の中にいることに気が付く。「組織」というシリーズ名から海外の「組織」へ思いを巡らせるうちに、このあまりにも有名なメーテルリンクの「青い鳥」の寓話(ぐうわ)が浮かんだ。

国立民族学博物館(みんぱく)にも「みんぱくミュージアムパートナーズ」という身近な組織があって、とても印象的だ。この秋で十周年を迎えたボランティア組織である。パートナーズという名の通り、みんぱくに指示されるのではなく、時には奇抜な企画も皆がすすんで提示して、お堅い国立の機関であるみんぱくの殻を破るのに一役買っていただいている。

たとえば、ミクロネシアの島から洋上を日本まで航海してきた全長八メートルの「チェチェメニ号」をみんぱくで見つけると、約三十センチの船の模型のキットを瞬く間に作って、子供たちと帆走させてしまったり、また、小学校と連携して、楽器や衣装の体験をするプログラムをつくったりと、展示と来館者の間をつないでくれている。

地道に続けている点字教室などの活動の広がりの一つとして、視覚障がい者の児童の団体見学が多いことは、博物館としてのみんぱくに大きな自信と誇りも与えてくれている。

シリーズの他のコラムを読む
(1)日系宗教の海外伝道 広瀬浩二郎
(2)博物館は地域の「顔」 丸川雄三
(3)雲南で広がる教会の輪 横山廣子
(4)災害ボランティア 林勲男
(5)北米のタイコ音楽 寺田吉孝
(6)みんぱくの青い鳥 出口正之
(7)手話で広がる世界 相良啓子
(8)プロジェクト終の棲家 鈴木七美