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フェアトレードタウン

(3)コーヒー協同組合の町 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2016年6月23日刊行

鈴木紀(国立民族学博物館准教授)


ペレス・セレドン市のコーヒー水洗施設=2014年、筆者撮影

開発途上国の小規模な商品生産者がフェアトレード(公正な貿易)の恩恵を受けるためには、原則として協同組合に参加することが条件となる。

コスタリカのペレス・セレドン市は首都サンホセ市の南東約150キロ、温暖な農業地帯に位置する。2009年にフェアトレードタウンを宣言した。その中心となったのは「コオペアグリ」という協同組合。1万人以上の組合員を擁し、その大半は国際フェアトレードラベル機構の認証を受けたコーヒー生産者だ。

市の中心に組合本部がある。1階はスーパーマーケット、2階は信用組合の店舗を兼ねる。周辺には農機具販売店やガソリンスタンド、診療所もある。いずれも組合員の便宜のために開設されており、その運営にはフェアトレードの収益が活用されている。

郊外には収穫したコーヒー豆から果肉を除去する大規模な水洗施設がある。そこでは果肉は廃棄せず有機肥料に加工され、処理水を川に流さないための貯水池が建設されるなど、環境対策も万全だ。

フェアトレードタウンとなることで同組合が目指すのは、新しい文化の創造だ。社会経営の精神と環境保全の思想を、非組合員を含むペレス・セレドン市民全体に広げたいという。

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